【登山ハイライト】2022年の印象に残った山5選

2022年、なんだかんだ一瞬で終わってしまいましたが、1つ1つの山行を振り返ると、これ去年登ったんだ!という変な感覚になることがあります。結構好きな感覚です。

本当は3選とかにしようと思っていましたが、3つでは収まらなかったので、5つに絞って振り返ってみます。

なかには本当に死を意識するような山行もあり、猛省しながらも「二度とあんな失敗はしない」と痛感できたことが財産です。まだまだ死にたくないので。

目次

阿弥陀岳(1月)

阿弥陀岳山頂から赤岳方面

中央道茅野から登山口まで15キロほど歩いて徒歩で向かい、じゅうぶん温まったところで阿弥陀岳頂上まで登攀するというエクストリームな山行でした。

森林限界を超えると、山頂まで続くトレースと、それ以上に目をひく切れ落ちた南壁。この稜線でトレースを外れるのは御法度なので、ひたすら前だけみて頂を目指します。

「阿弥陀岳 二八〇五M」と書いてあるはずの看板です。茅野市から意気軒昂と登ってきましたが、ここまで7時間ほどかかりました。

今回は御小屋尾根を経由して登ってきましたが、雪質もよく、これ以上ないほど好条件で登れました。

南東方面を見ると、富士山が海に浮かんでいるような不思議な感じです。一瞥しただけで富士山だと分かる見事な存在感ですね。穏やかそうに見えて、頂上では信じられないほどの暴風が吹き荒れていることでしょう。

阿弥陀岳は2022年の一発目に登頂したことや、距離およそ30キロの道のりを日帰りで遂行したことも相まって、十分すぎるボリュームでした。

伯耆大山(2月)

大山(弥山)頂上

前日までドカドカ雪が降っていたので、あまり登山者はいないのかなと思っていたのですが、平日にもかかわらず大山はめちゃめちゃ人気で、登山者の流れが途絶えることはなく、にぎやかに登れました。

あちらに頂上避難小屋があるのですが、屋根の高さまで雪が積もっているので不思議な感覚です。

入口は掘ってあったので、入ることはできます。

この日はほとんど雲っていたのですが、山頂についたら幻想的な晴れ間が!

剣ヶ峰方面を見ると、これでもかという程厚い雲と急峻な山容、それを見る登山者の皆様の構図にテンション爆上がりです。

本当に荘厳な雰囲気が演出されていました。

展望ポイントでしばらく待ったのですが、いつまでたっても剣ヶ峰の先っぽはハッキリと見れませんでした。

中国地方随一の霊峰の風格が現れているようで、標高以上に威厳たっぷりの山でした。

西遠見山(3月)

西遠見山より、五竜岳・武田菱

死ぬかも!と思ったテント泊での西遠見山です。全体を通してやや雪深く、とくに中遠見山以降はラッセルを強いられる状態でガリガリ体力が削られましたね。

アルプス平からしばらくはガスガスでしたが、根性で登っていると雲を抜けて幻想的な風景が現れました。

この夜にあれだけ恐ろしい思いをすることになるとはつゆ知らず、天気が持つ午前中にこの絶景を見ながらラッセルし続けました。

集中して進んでいても、こんな景色が出迎えてくれるのでついつい足を止めて見とれてしまう・・・。

この日の午後から翌朝まで、とんでもない暴風の中、テントのフレームが折れるかもしれない、ちょっとでも穴が開いたら死んでしまう・・・という不安に駆られながら生きた心地のしない時間を過ごしました。

想像を絶する暴風で殆ど寝れませんでしたが、午前5時ぐらいにピタッと風が止んだので時間をおいて外を見ると、美しい朝日が照らしてくれました。この時は生きていることのありがたみを実感し、とにかく全てに感謝した記憶があります。

テントにいるだけで激しい疲労感と後悔に苛まれていましたが、日が昇った瞬間に全てが解放された感覚です。太陽は偉大ですね。

剱岳(8月)

カニのたてばいを超えて

後輩と共に立山三山と剱岳(別山尾根)に登りましたが、1日目の立山縦走は天候が悪く、翌日の剱岳アタックに期待していました。

個人的にも、2019年に剱岳に登頂したときはガスに包まれていたこともあり、今回こそは!と意気込んでいた中、期待を大きく超える景色が拝めました。

剱岳は北アルプスの中でも日本海側に近いこともあり、晴天が掴みづらい印象だったのですが、山頂からは一望千里の絶景が広がっており、気持ちが昂りすぎて頭がおかしくなりそうでした。

剱岳は下山が本番。カニのよこばいは最初の右足さえしっかり置ければ、あとは焦らなければ大丈夫。後輩がヨコバイを伝っています。滑落にも気を遣わないといけませんが、落石を引き起こさないような足の運びがこの山では大事です。

剱岳は休日だとかなり渋滞するので、平日の夜明け前(午前4時くらい)に剣山荘を通過すると、前剱付近で日の出を迎えられます。アクセスは簡単ではないですが、何度でも行きたい山です。

剱岳を象徴する言葉はいくつかありますが、「岩と雪の殿堂」は別山尾根から見た剱岳を、「試練と憧れ」は、早月尾根に挑む登山者を表す、まさに珠玉の表現だと感じます。

白馬岳・不帰ノ剱(8月)

天狗の頭付近から眺める不帰キレット

「岩と雪の殿堂」剱岳に登頂した1週間後、こんどは神秘の大雪渓をわたる白馬岳と、

ゴリゴリの岩の殿堂、不帰ノ剱に挑んでいきました。

真夏に自然の力でこれだけ涼しい思いをできるのは本当に幸せでした。大雪渓は軽アイゼンがないと、かなり苦労します。

地図で見ると分かりますが、大雪渓は目で見えている距離以上に長いです。一番大変なのは、大雪渓を超えた直後の急登で、頂上宿舎まで鬼のように体力を削られます。

不帰ノ剱に挑む前の癒しポイント。キレットを超えた先に向かう八方尾根と、白馬村の街並みが見えます。ちゃんと帰るためにも、特に不帰Ⅰ峰~不帰Ⅱ峰北峰は極めて慎重に通過しました。核心部は緊張感のある垂直な鎖場や、高度感のある岩壁の隙間を通過しますが、距離は短いので三大キレットの中で、大キレットよりは難易度が低いです。

でも、普通の鎖場とは桁違いの難度であることは間違いないです!

不帰Ⅱ峰北峰から、Ⅱ峰南峰・不帰Ⅲ峰・唐松岳のラインナップ。白馬山荘を午前4時に出発してから4時間ちょっとでⅡ峰登頂です。ここまでくれば難関は超えたと言っていいですが、全然油断はできません。岩場が雨で滑りやすく、霧が出てくればⅢ峰周辺は道迷いしやすそうな地形で最後までスリルに溢れた山行でした。

2022年の山行を5つ振り返ってみましたが、ベストを選ぶのは難しいです。登っている最中は、目の前のピークや登山道に集中しがちですが、後から写真や動画を整理していると、上にあげた5つの山はもう1度行きたい、と強く思う山でした。

2023年も力強く登っていきます。

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