前回、カトマンズの空港からルクラへ向かい、パクディンを経てナムチェまで向かいました。
ここまでの道でも、ネパールの自然がどれだけ壮大で素晴らしいものかを思い知らされましたが、ここからの更なる景色への期待もどんどん高まってきています。
いよいよ標高も富士山の高さを捉え、新しい景色を目に焼き付けながら、ナムチェからドーレ、そしてマッチェルモまで向かいます。
ナムチェからモン・ラまでの道
11月18日、午前7時にナムチェの宿を出発します。
この時点で標高は3,400メートルくらいありますが、今回高度順応をせずに先に進むので、事前に高山病予防薬のダイアモックスを半錠飲んでいきます。
谷の向こう側、朝日に照らされるコンデ峰です。
新参者の私でも安心感を感じる、見事な高峰です。常にナムチェの村を見守ってくれています。
ナムチェから先、このような石の建造物がありますが、ゴミ箱です。
日本だと、ゴミは基本的に持ち帰るのでかなり新鮮で面白いですね。
ナムチェから歩いて1時間ほど、ついにエベレストの頭が中央に見えてきました。
ずいぶん遠くに見えますが、この位置からでも世界一の高峰たる威厳と迫力を感じます。
ナムチェからしばらく平坦な道を進んでいきます。
この先もゾッキョなどの動物とはよく出会いますが、必ず山側に避けるようにしましょう。
ナムチェから1時間半ほど歩き、分岐点に来ました。
ここは、右に下ると、カラパタール、そしてエベレストベースキャンプへ向かいます。
今回私はゴーキョ・ピークへ向かうので、左(正面?)の道から登っていきます。
さっきの分岐から、がっつり登りになっていきます。
こんなしっかりした階段も待ち構えており、正直この標高で階段を登るのは大変です。なまじ道が整備されているので、階段はこの先も何か所か出くわします。
道がずっと先まで続いており、目に見えるギリギリの先にモン・ラの村が見えます。
そして、谷をはさんで右側にも建物が密集しているところがありますが、あちらがポルツェです。
道は割となだらかですが、ちょっと道は細いので動物とすれ違う際は要注意です。
ナムチェから3時間で、モン・ラに到着です。
いきなり待機中のゾッキョが道をふさいでいます。彼らは優しいので、頭の方から通ろうとすると、彼らの方から角をよけてくれます。ナイスガイです。
モン・ラは標高4,150メートルほどで、いつの間にか標高4,000メートルを超えていました。
右に見えるスワヤンブナートを彷彿とさせるものが目を引きます。
正直ここまでは全然体力的にも問題なかったのですが、地図を見ると、この先がかなり不穏であることが分かっていたので、ここで十分体力を回復させておきます。
モン・ラからドーレまでの道
谷の向こうに見えるポルツェの村を見ながらモン・ラを後にします。
さあ、なんとここからめっちゃ下ります。せっかく4,100メートルくらいまで標高をもってきたのに、ここから400メートルくらい下りが待ち構えています。
これだけ一気に下ると、そのぶん帰りに登らないといけないことを考えてしまい、先が思いやられます。
30分くらい下っていますが、まだ下に道が見えます。
笑っちゃうくらい長い距離を下るので、後のことは考えずに目の前の道に集中することにします。
それでも、見える景色が常に良好なので全くストレスはありません。
10時48分、ポルツェ・テンガに到着です。標高は3,680メートル、ずいぶん下って川の音も鮮明に聞こえます。
絶好の休憩ポイント、ここでしばらく休んで、これから先の登り返しに備えます。
12時すぎにポルツェ・テンガをスタート。
ここからこの日の目的地であるドーレへ向かいます。
標高は富士山とほぼ同じくらいですが、歩いていると僅かに暑さを感じます。アンダーシャツのうえに長袖のミドルウェア1枚でちょうどいいぐらいです。
ポルツェ・テンガを出てからは怒涛の登りです。いくつか長い階段があるので、無心で登っていきます。
動物も通るので、フンが落ちていることがあります。肥沃な土の場所と違って分解されないので、けっこうフンが残っています。ボーっと歩いていると踏んでしまうので、意外に一番神経を使う場所でした。
階段を登り切って、ようやく標高4,000メートル付近まで再び上がってきました。
この標高で、これだけ富饒な緑と、質の良い土の上を歩けるのはかなり有難いですね。同じ標高のモンブランでは、がっつり雪の上でした。
ドーレが近づいてきましたが、村は見えません。
しかし、最も奥に白い頂が見えます。ガイドさんに聞いてみると、世界6番目の高峰チョ・オユーとのことです。
憧れの8,000メートル峰が近づいていることが目に見えて分かるようになり、更なる最高の景色を求めて、どんどん足早になっていきます。
13時28分、この日の宿泊地であるドーレに到着。
なんと先ほど通過したモン・ラよりも標高が低いとのこと。それでも4,000メートルを超える高地の村です。
これだけ高いところに来ると、あまり固形物を欲さなくなります。
夕食はキノコのスープにしました。もっと高いところに行ったり、ちょっと頭が痛いような感じがしてきたら、ガーリックスープが有効です。
ナムチェからモン・ラまで上がり、一度ポルツェ・テンガまで大下りしてから再びドーレまで上がってくるという地味にハードな行程だったので、一応足に湿布を貼ってケアをし、翌日に備えて8時には寝ます。
ドーレからマッチェルモまでの道
外が明るくなることを感じ、目が覚めました。
この日はドーレからマッチェルモまで向かいます。この間の行程は、ドーレを出るときに標高がちょっと上がりますが、それ以外は概ね平坦な道のりで、割と余裕があります。
その一方、この間に高山病の症状が出る人間も多いので、かなりゆっくりなペースで向かうことが重要です。
8時すぎに、ドーレのロッジを出発します。
ドーレを出てからすぐに登りが始まります。この日は行程が短いので、極めてゆっくりなペースでガイドさんと登っていきます。
高山病も気にしないといけない標高ですし、急ぐ理由は全くありません。
ドーレから20分ほど登ると、広く平坦な場所に出ました。
この先が楽そうな行程であることが分かっているので、気楽に寝っ転がりたい気持ちになりましたが、あらゆる場所に動物のフンが落っこちているので止めたほうがいいですね。
しばらくは、こんな感じで平坦な道が長く続いています。
カラパタールへ行く道と比べて人が少ないので、周りを気にしすぎずに自分のペースで進みやすいことも、ゴーキョ・ピークへのルートをおススメしたい理由の一つです。
道の続く先にチョ・オユーが見える、素晴らしい絶景です。
トレッキングルート自体は平坦かもしれませんが、私にとってこの景色は感情を昂らせる最強の効果があります。
ドーレから1時間半、向こうに見えるのはルザの村です。
遠くからぱっと見た感じは寂寞とした印象がありますが、どことなく故郷を思い出させるようなノスタルジックさを感じます。
ルザは非常に広く、使われていなさそうな土地もあります。
閑やかで美しいですね。これで4,000メートルを超えているのが信じられません。
ルザを抜けます。手前の道やゆるやかな小山と、奥に見えるヒマラヤの白くゴツい山容の対比が面白いですね。
ドーレから3時間もせずに、マッチェルモが見えてきました。
割とゆっくり歩いてこの時間なので、かなり余裕はあります。ただ、標高は4,400メートルほどあり、少しでも無理しようとすると体調に響くので、意識してゆっくり進んでいきましょう。
ナムチェからゴーキョに向かうトレッカーが最後にお世話になる村、マッチェルモです。
ロッジは5~6建ほどあります。
今回は、手前の緑色の屋根のロッジにお世話になりました。
食堂はこんな感じです。飲料や食料の購入はもちろん、有料でWi-Fi(1,000ルピー)も使えます。
ロッジのご主人は、赤ちゃんのお守りをしながら丁寧に対応してくれます。
あまりお腹が空いていなかったので、ダルバートのような量の多い食事は避け、麺を頼みました。
寒くなってきた頃合いにうってつけの、体の芯から温まる最高の味です。
夕方、西日が向こうの山を照らしています。窓越しの景色ですが、心が洗われるひと時で落ち着く光景です。
明日はいよいよ今回の旅の目的であるゴーキョ、そして体調含め何も問題なければ、5,357メートルのゴーキョ・ピークへと向かいます。
どんな光景が見られるのか、本やサイトなどでは正直スケール感が分からなかったので、直接見るのが本当に楽しみです。これだけ高い標高で、こんなに充実した環境で休めることに有難みを感じつつ、しっかり休みました。
そして、次回目的の頂で見た景色は、私の新たな冒険心を芽生えさせる、想像を大きく超えた風景が待っていたのでした。