【ゴーキョ・ピーク③】エベレスト街道をたどりゴーキョ・ピークへ 5,357メートルの頂

いよいよ、5,000メートルの世界に足を踏み入れます。いよいよこの場所に来た!という特別感がテンションを高揚させます。

すでに前回記録したドーレあたりから別の世界に来ているような感覚がありましたが、今回の目的地はゴーキョ・ピーク。そこから見える景色を期待して、最後の登りへ向かいます。

目次

マッチェルモからゴーキョへの道

朝8時、マッチェルモを出発します。

まずは目の前の丘を登り、細かくアップダウンを繰り返しながらゴーキョまで向かいます。

遠方にチョ・オユーを見ながらトレッキングできるので、最高のモチベーションで進んでいけます。

ネパールに入ってから、1度も天候が崩れていません。やはりネパールの11月はトレッキングに最適な季節ですね。

8時50分、パンガという小さな村です。

この辺に限った話ではないのですが、風が吹いて砂塵が巻き上がることがあります。ガイドさんやポーターさんは、ネックウォーマーを鼻まで上げて対応していましたが、私は暑くてザックに収納してしまったので、どうしようもありません。

パンガを抜けると、ちょっと下ってさらに北方へ進んでいきます。

チョ・オユーは風が強そうです。雲が東に向かって凄い勢いで流れています。

下りが続いて、川が真横に見える場所に来ました。

ゴーキョ方面から降りてくる方も数十名ほど見受けられます。思ったよりも川の勢いが強く、「ゴーッ」という音が永遠に響いています。

川沿いに歩いていると、なんといきなり急な階段が現れました。

この階段はゴーキョへ向かう最後の砦です。ここで一気に標高を上げて、ゴーキョへ向かいます。

標高も高いので、焦ってはいけません。

階段を登り切ると、すぐにゴーキョ湖が見えます。ゴーキョの村までに、こういった湖が3つあります。

現地の方はゴーキョ湖1、ゴーキョ湖2、ゴーキョ湖3と分けて呼んでいて、これはゴーキョ湖1です。

この時点で風光明媚な素晴らしい光景だと思っていましたが、この後に出てくるゴーキョ湖2、ゴーキョ湖3がバケモノ級に美しい湖だったため、どうしても印象に残りづらいものとなっています。

さらに先へ進みます。正面左の小高い山が、ゴーキョ・ピークです。あの山が5,357メートルの標高を誇っており、今回の旅における最大の目的です。登山道も割とはっきり目視できます。

ここからゴーキョまでは平坦な道を進んでいきます。

11時17分、突然目の前に現れたのは、ゴーキョ湖2です。

誰もが納得する美しいエメラルドグリーンで、決して穢してはならない神秘的な雰囲気を感じます。

水の色だけ見たら、パラオとかモルディブとかのリゾートの海と言われても疑わないほどの美しい湖です。

ここは4,700メートル、ヒマラヤの高地に天空の楽園が目の前に広がっています。

そして、ゴーキョ湖3と共に、ゴーキョの村が見えてきました。

ゴーキョ湖3は、ゴーキョ湖2と隣り合っており、どちらも信じられないほど美しいエメラルドグリーンの水をたたえています。

そして、左に大変存在感のあるゴーキョ・ピークが見えます。画像で見るよりも巨大で、圧倒される迫力があります。

ついにここまで辿り着きました。高度順応をしていないものの、ダイアモックスがしっかり効果を発揮しているのか、体調はかなり良好で一切の不安もありません。

ついにゴーキョ到着

ゴーキョの標高は4,790メートル。私のようにナムチェからドーレ、マッチェルモを経由して来る人が多いですが、カラパタールや、西側のレンジョ・パス方面から訪れるトレッカーもいます。

11時40分、宿に着きました。実は周りの宿が満室に近い状況となっており、なんとかこちらの宿がとれた、というような状態です。ドーレやマッチェルモはかなり余裕があったのですが、やはりゴーキョは多方面からトレッカーが訪れる人気スポットですね。

当然ですが、ここまで来ると全てのモノの値段が高いです。水は800ルピーします。できることなら、もっと手前のロッジで必要な分の水を確保しておくことをお勧めします。

夜になり、ガイドさんたちがストーブを囲んでいます。夜になると本当に寒いので、防寒具はフル装備しています。

4シーズン用のシュラフを持ってきていましたが、ここまで使ってきませんでした。しかし、ゴーキョの夜は本当に寒く、シュラフは必須レベルです。

翌日は、未明の3時にロッジを出発し、夜明けとともに山頂に到着する予定となっているため、夕食は6時に済ませ、すぐに寝ます。

人生初の5,000メートルの世界、山頂からどんな景色が見られるのか、どんなインスピレーションを得られるのか、色々と楽しみが膨らんでしまい、なかなか寝られません。

何とかして寝るため、貼るタイプのカイロを足の裏などに貼り、温かくすることで熟睡することができました。

翌朝の目覚めは快調、2時30分に起床し、準備運動と軽くエネルギー飲料を口に含んでガイドさんと合流。

当然ですが、ヘッドライトの明かり以外は真っ暗で、のんびり三脚をたてて星空撮影などはしていられないうえに、撮っても暗すぎて何も映らないので、頂上まで撮影しませんでした。

ゴーキョ・ピーク登頂

いきなりですが、ゴーキョ・ピーク(5,357メートル)に登頂しました。凄い規模のタルチョ(5色の旗のようなもの)が棚引いています。ただ今の時間は6時ちょうど、頂上にはすでに10人ほどのトレッカーが登頂に成功しています。

私が頂上に着いたころはまだ真っ暗でしたが、40分ほど待って漸く明るくなりました。

はじめての標高5,000メートルの世界、体感的に4,000メートル台のところよりも息が苦しいかもしれない・・・というレベルです。体調に変化が生じたり、著しくしんどい、というような感覚はありません。

頂上には、割れた看板があります。現地では、ゴーキョ・ピークのことを「ゴーキョリ」と呼称しています。

5,357メートルの世界、シンプルに寒いです。風が無い状態でもマイナス15度くらいで、風が吹くと体が自然と縮こまります。

そして、日の出前のゴーキョ・ピークから見える世界最高峰の峰々です。

圧巻、壮大、豪壮など色んな表現が思い浮かびますが、シンプルに感動しました。

正面に見える最も高い山が世界最高峰のエベレスト、その少し右に見える少しギザギザした山容のローツェ、画像右側に聳えている世界5位の高峰マカルー。

目の前に3座の8,000メートル峰を捉えることができる最高のビューポイントです。

日の出直前に見た、ゴーキョ湖とヒマラヤ山脈の共演です。嵐影湖光の絶景が目の前に広がっています。

世界の頂上が目の前にあると思うと、身が震えますね。自分が今まで見てきた中でトップクラスに心を奪われた光景です。

6時38分、チョラツェ峰の左側から太陽が昇ってきました。

山登りをしている中で、一番報われる瞬間です。日が昇った途端寒さが一気にやわらぎ、少しずつ暖かくなるのを感じます。

8,000メートル峰3座は、このように見えております。

世界最高峰のエベレスト、標高世界4位のローツェ、そして標高世界5位のマカルーという、多くの登山家が夢見た8,000メートル峰の姿は、やはり別格です。

そして、北側を向くと世界6位の8,000メートル峰、チョ・オユーも見えます。

8,000メートル峰の中では、登るのに比較的易しめの山というイメージがありますが、こうしてみると8,000メートル峰がもつ独特の荘厳さが伝わってきます。

もう少し向こうまで行って撮影したかったのですが、あの岩の先が崖になっていて危険だったため、安全な場所から捉えています。

ゴーキョ・ピークからは、エベレスト、ローツェ、マカルー、チョ・オユーという8,000メートル峰4座、そして数多くの7,000メートル峰、6,000メートル峰が視界を埋め尽くします。

エベレスト街道では、カラパタールとエベレストベースキャンプまで行けるルートの方が人気が高いですが、私は間違いなく今回ゴーキョ・ピークに行けて良かったと思っています。

エベレストをはじめとした高峰だけでなく、綺麗な氷河湖を含めたスケール感と、景色の美しさは抜群です。

一生思い返すことができる風景を目に焼き付け、名残惜しくもゴーキョ・ピークを後にします。

ゴーキョを去って

ゴーキョ・ピークを7時に出発し、下山します。

明るくなったことで、地面の様子や傾斜などが分かるようになりました。基本的に同じような道がずっと続いているような感じなので、どこが5,000メートル地点なのか、分かりません。

下山している最中に、上を見上げてみます。この直登が600メートル弱続いているので、もしかしたら真っ暗な方が変にプレッシャーを感じないで済むかもしれません。

ただ、荷物をデポして身軽な状態で登れるので、見た目ほどしんどくはありません。個人差はありますが、ゴーキョからゴーキョ・ピークまでは早くて2時間、ゆっくり進んで3時間半ほどかかります。

ゴーキョ・ピークから40分でここまで降りてきました。

こんな美しい湖を眺めながら下山できるので、全く苦ではありません。

7時47分、水辺まで下ってきました。改めて水面を見ると、信じられないほど青く透き通っています。

なお、泳ぐのは禁じられています。そもそも寒すぎて水に触れる気にもなりません。

この日は、ゴーキョを出たらマッチェルモを経て、ドーレまで下ります。

すでに心が満たされたのですが、気を緩めずに下る必要があります。ここまでの道ですでに見てきたのですが、割と道が細くなっているところが多く、余所見は危険です。

もう高山病の心配をする必要がないので、体力と怪我の心配に全集中力を注ぎます。

ゴーキョ・ピークという目標を達成できたので、かなり穏やかな気持ちで下ることができます。

下りと言っても、細かいアップダウンが続いています。前に誰もいないので、自分のペースで進みやすいです。ゴーキョへの道は、ほんとうに静かなトレッキングが出来るところも大きな魅力です。

山岳地帯らしい、草を食む動物と雪山の風景です。

さきほどまでゴーキョ・ピークから荘厳な景色を見ていましたが、打って変わって非常にのどかな風景が広がっています。個人的には、これがネパールを象徴する風景かもしれない、と実感しました。

この数日で、私の冒険心がかなり刺激されたので数年後に必ずネパールに戻ってきたいと思います。

今回はトレッキングでしたが、次は標高6,000メートル以上の山行を指す、”登山”をしたいと思ったので、今回の旅を糧に、より一層経験をつんで新たな景色を探しにいきたいです。

ゴーキョ・ピークから見た風景は私がこれまで見てきた景色の中でも最高級に印象深い風景として刻まれており、もっと多くの方にネパールの景色の素晴らしさ、自然の美しさを伝えられたらなと思います。

さあ、まだまだ下山の路は長いです。次回はネパール編の最後、ドーレからナムチェ、そしてルクラまで下る様子を記録していきます。

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