今回は、静岡の伊豆半島に位置する名峰、天城山へ登りに行きました。
11月の最終盤ということで紅葉は終わりを迎え、色とりどりの木々を見るには少々微妙な季節です。
しかし、この時期は天候が安定しやすく、遠景を眺めるのが好きな私にとっては非常に期待値が高い時期でもあります。
天城山は日本百名山に選定されている山ですが、同じ百名山の両神山や皇海山などと同じように眺望に恵まれない山としてよく挙げられています。
しかし、実際に登ってみると自分の期待を超える美景を目の当たりにするのでした。
登山データ
活動時期 | 時間 | 歩行距離 | 累積標高 | コース定数 |
2024年11月30日(1Day) | 4時間51分 | 8.2km | 687m | 16 |
天城高原駐車場からスタート

11月30日の9時30分、伊豆スカイラインを経由し、天城高原駐車場からスタートです。
爽やかな秋空が広がっていますが、風が強く体感温度は5度もないように感じます。
今回は、シャクナゲコースと呼ばれる、万二郎岳、万三郎岳を周回してスタート地点に戻るコースで山歩きを楽しみます。

駐車場の出口の反対側に、天城山の登山口があります。
いきなり急登から始まることも少なくなかったので最初は警戒していましたが、下りから始まります。

ある程度下った先に、顔みたいな塀が見えます。
ここから登りが始まりますが、地図で見た感じでは序盤の起伏は激しくありません。

今日は土曜日ですが、あまり人がいません。
季節的にも紅葉終わりの微妙な季節のため、駐車場も50%くらいは空いていました。
この道のように、序盤はそんなにきつくない道が続きます。

ただし、傾斜以上に気になるのは登山道の分かりづらさです。
ちゃんと注視して道を歩いていれば問題ないですが、ピンクテープが変なところに巻いてあったり、本来の登山道じゃない道が開けていたりと、少々道に迷いやすい要素が出てきます。

登山口から20分くらいで、四辻というポイントに着きます。
体力的には全然問題ないのですが、万二郎岳から万三郎岳を周回しようとすると、けっこう距離があるので休憩はこまめに取るべきですね。

先へ進んでも特に眺望はありません。
山の装いが終わり、静けさが一帯の空気を支配しています。

順路にはこのように看板が多くあるので、あとどのくらいで目的地に着くのか目途がつきやすいです。
相変わらず傾斜はそんなに無いので、体力は問題ないのですが、時折強い風が突き付けてくるので体感温度は5度もないように感じます。

四辻から20分程で、少し開けた風景が見える場所に来ました。
まだこの場所では奥に見える光景がはっきり分かりづらいですが、この先も期待できるぞ!
と期待が上がる瞬間でした。

なお、地面を見ると霜が降りてきています。
特に歩行に影響はないのですが、冬の訪れを実感します。

傾斜がついてくると、ピークが近づいてくることを実感できて、ついついペースが早くなってしまいます。

万二郎岳はもうすぐ近くです。
頂上近くの木々も冬支度を終え、静かに佇んでいます。
夜に見たら怖い風景ですが、哀愁漂う美景ですね。

山頂を示す看板があります。
木々のおかげで風は遮られていますが、上空の方で「ゴゴーッ」と風が吹いていることがあり、やはり伊豆半島の地形も相まって驚くほどの風が時折吹きます。
さあ、シャクナゲコース最初の目的地である万二郎岳の頂に向かいます。
万二郎岳から見る海

10時42分、万二郎岳に登頂です。
ちなみに万三郎岳はここより高いので、天城山の最高峰は万三郎岳のほうです。
しかし眺望は万二郎岳の方が優れていると言われているので、ここで大休止をとるパーティが多いです。

万二郎岳からは、相模の海が見渡せます。
以前登頂した富士山の時にも海が見られましたが、山から見る海は本当に綺麗で贅沢な風景です。
地上からだと、せいぜい4キロちょっとが水平線まで見える限界ですが、こういった高い場所から見ることで更に先まで見渡せるので、何となく脳が幸せになります。

ちょっと休憩したのち、万三郎岳へ向けて進みます。
まずは大下りが待ち受けているので、この後の登り返しが心配ですが集中して下ります。

下り始めてすぐのところで、突然視界が開けて向かう先の万三郎岳が飛び込んできました。
美しい山容、澄んだ青空、遠くに見える雲が素晴らしい光景を演出しています。
ここからあの頂に向かうんだ!というワクワク感は堪りません。

景色を堪能したのちに、万三郎岳へ進みます。
やや背の低い木々の間を抜けていくので、時折目線の高さに木の枝が現れます。
うっかり刺さらないように、ちょっと注意が必要ですね。

万二郎岳から万三郎岳は割と距離がありますが、天城山においてはメジャーなルートなので、この付近は道が明瞭で分かりやすいです。

道中、海が見えるビューポイントが現れました。
海が見える山は本当に素晴らしいですね。一望無垠の絶景が、心身を癒してくれます。

海の見える絶景ポイントは、馬の背と言われるところで堪能できます。
現在11時20分、万二郎岳からは30分ほどですが、下りが中心だったので、ここから再び登り返しが始まります。そこまで急登ではないですが、天城山は想像以上に距離があって簡単ではありません。
万三郎岳までの登り返し

水天一碧の美景と共に、大室山が目立ちます。
こうして改めて相模湾を見ると、本当に綺麗な群青色をしています。

少し進むと、アセビのトンネルと書かれた看板があります。
この時期に来ても、花は咲いていないのでパッと見では何がアセビなのか分かりません。
春が見ごろなので、その時期にまた訪れてみたいですね。

トンネルを貫くような豪快な倒木があります。
登山道ではよくあることですが、屈むことで今の姿勢を崩して進まないといけないのが無雪期の山登りでは一番辛いと言っても過言ではありません。

馬の背を超えてからは、基本的に登りが中心ですが、たまに凄い下りポイントが存在します。
距離は全然ないですが、浮石がちょくちょくあるので、足元要注意です!

登り下りが続いた中、こんな崩れた道も出てきます。
ただ、大体こんな風になっている箇所は左右どちらかを見ると通りやすい道が開設されているので、よく周りを見てみましょう。

万三郎岳が近づいてきましたが、登山道自体にはそこまで変化はありません。
ただ、細かい岩や木の根が目立ち始めました。
雰囲気としては丹沢に近いですね。

万三郎岳の直下まで来ました。
山頂直下は急登で細道となっています。
しかも道が微妙に分かりづらい!
地図で見ると確実に山頂直下ですが、本当にこの先が山頂なのか?
と思ってしまうほどです。
こんなに絶景が広がっている気が全然しないビクトリーロードは初めてです。
万三郎岳登頂と、下山の道のり

12時12分、天城山の最高峰である万三郎岳(1,405m)に登頂です。
天城高原駐車場からシャクナゲコースを通り、3時間かからない位の時間で登頂です。
山頂の看板、かなり年期が入っていて、何となく風格を感じますね。

山頂に一等三角点があります。
地理的な特徴だと、天城山は太平洋からの上昇気流がぶつかる場所なので、この付近は雨が非常に多く植生が豊かになってます。

山頂からの眺望はなく、枯れきった広葉樹を眺める場所になっています。
一応ベンチが3つくらい置かれていますが、この時期は止まっていると寒すぎて山頂にあまり留まることはできません。
また、西の方から凄い勢いで雲が湧いてきたので、10分程度休憩をはさんで、いそいそと下山します。
手応えのある下山道

山頂から少し西に進んだところで、いきなり雲が晴れたと共に、長閑な景色が見えます。
ただ、常に強い風が吹き抜けていくところで、落ち着いた気持ちで見ることはできませんでした。

12時31分、天城縦走路との分岐点があります。
縦走路のコースは健脚者向けで、距離はおよそ17.5キロ。コースタイムは7時間半くらいのロングルートとなります。
天城の原生林を堪能できる魅力的なルートですね。
いつか挑戦してみたいと思っています。

下界の景色も視界に入ってきて集中力を欠いてしまいますが、慎重に足元の階段を下っていきます。
ただ、凄い数の落ち葉に足を滑らせて転倒するリスクがあります。
景色を楽しみたいときは、ちゃんと広い場所で止まって楽しむと良いですね!

有難いことに足場が組まれていますが、正直段差が増えるだけなので体力を消費してしまいます。
下山において、後ろに転倒して尻もちをつくことはあっても、こういう風に前に転倒するリスクがある場所は危険度が上がります。

シャクナゲコースを北に進んでいますが、ご覧のように斜度があります。

北上を続けていましたが、途中で東方向に道が曲がります。
標高にして凡そ1,150メートルほどです。
万三郎岳から急な斜面をずっと下ってきたので、膝へのダメージを気にして急に曲がることに気付かないところでした。

東方向に転換してからは、割と平坦な道が続きます。
ただし細い道幅かつ、片側は斜面となっているので、見た目よりも危険な場所も少なくありません。

13時4分、涸沢分岐点です。
看板の数が多いですね。視界が悪くなる日が多いこの山域では、非常に助かります。

滑落注意ポイントです!
木や根っこが登山道までせり出しているパターンも多いので、一歩一歩確実に進む必要があります。

14時6分、四辻まで戻ってきました。
シャクナゲコースは、万二郎岳から万三郎岳へ行ってから登山口に戻る登山者が多いですが、ここまで2~3人くらいしかすれ違いませんでした。

そして、14時21分に登山口へ戻ってきました。
無事に山行を終えた心身に「おつかれさまでした」の一言が沁みますね。
天城山は、日本百名山の中ではそこまで手ごたえが無い、あまり良い景色は望めないといった感想を聞いたことがありましたが、全然そんなことはありません。
登りも下りもちょうどいい手応えがありますし、随所で開けた風景が見られました。
特に、山から見える海の風景が好きな私にとって、万二郎岳から見える万三郎岳や、馬返し付近から見られた相模湾などの素晴らしい美景は、強烈な印象に残るというよりかは、心に染みわたるような素晴らしい光景でした。
11月30日
9:30 天城高原駐車場発
9:51 四辻
10:42 万二郎岳着
11:20 馬返し
11:30 アセビのトンネル
12:12 万三郎岳着
12:31 天城縦走路分岐点
13:04 涸沢分岐点
14:06 四辻
14:21 天城高原駐車場着