今回は7年ぶりくらいに大菩薩嶺へ向かいました。
日本百名山の中でも比較的行きやすい山で、初心者の方がステップアップするには誂え向きの山です。
というわけで、同じ職場で同じ担当の同僚と、新しく入社してきてくれた後輩と一緒に楽しみながら登っていきます。
直前まで天気が読みづらく、晴れはあまり期待できないような予報が続いていたので、風景よりも風情を楽しむ心意気で登山口へ向かいました。
登山データ
活動時期 | 時間 | 歩行距離 | 累積標高 | コース定数 |
2025年5月12日(1Day) | 4時間36分 | 7.2km | 590m | 14 |
霧に包まれる登山道

10時16分、大菩薩嶺の登山口である上日川峠に到着しました。
午前中の天気はいまいちの予報でしたが、ほんのわずかに陽が射す瞬間があり、僅かな期待を秘めたまま出発です。

序盤はそこまで傾斜が強くなく、道が明瞭で登りやすい印象です。
ただ、前日まで雨が降っていたため地面はぬかるんでおり、滑ります。
まだ始まったばかりなのに下りのことを憂いてしまうほど地面の状態は良くありません。

10時37分、上日川峠の駐車場から20分ほどで福ちゃん荘に到着です。
大菩薩嶺は初心者の方を中心に、本当に人気のある山です。
休日は先ほどの駐車場が満車になるほど人が沢山訪れる山ですが、誰も居ません。

福ちゃん荘は宿泊もできる山小舎です。
また、キャンプ場も併設しており、そちらは60名くらいの収容が可能だそうです。

さて、小休止を挟んで福ちゃん荘を後にします。
まずは唐松尾根を経て雷岩に向かいます。

まだ傾斜は全然きつくないです。
膝を患ってからは少し厳しい傾斜では著しくペースを落として登ることが多くなりましたが、まだ標準的なペースで進んでいけます。

地面の状態は、水が溜まっているほどではないですが、若干土に足が取られる場面が多く、前だけでなく足元にも気を配らないといけません。
今回はフィールドの経験がしっかりある頼もしい同僚と、登山はこれから頑張っていきたいと意気込む後輩と登っています。
こんな天気なので、景色を楽しむ以上に色んな会話をしながら、所々写真を楽しみながらゆっくり登っていきます。
鹿との出会い

相変わらず天気はご覧のようにガスに包まれています。
この状況も非日常感というか、独特の雰囲気を演出してくれるので結構好きです。

更に歩いていくと、東側が開けてくる場所に出ました。
本来であれば絶景が広がっているのですが・・・

ほとんどガスっています。
ただ、ガスは常に動いており、午後から天気が回復するらしいので素晴らしい展望は後のお楽しみです。

視線を移すと、いきなり目の前に鹿の姿が飛び込んできました。
この辺りでは鹿が出る可能性があるという前情報はありましたが、こんなところに居るとは全く思っておりませんでした。
鹿は二頭おり、もう一頭は後輩の方に行きました。
基本的に常に草を食んでおり、ほとんど目が合うことはありませんでしたが、ある程度人馴れしているのか、全然逃げません。

立派なカメラを携えた後輩が鹿の写真を大量に取り、7~8分程度鹿の姿を堪能したのちに先に進みます。
といってもこの後はすぐに雷岩に着くはずです。

11時40分、雷岩に到着です。
登山口から1時間半弱で到着しましたが、写真を撮りまくりながらゆっくり登ってきたので体力的余裕があります。
早い方なら1時間もしないで雷岩まで到着するでしょう。

ここは絶好の休憩ポイントです。
本来であればここで何人もの登山者が休憩する場所で賑わいますが、すでに下山している方も多く、誰も居ません。
まずは大菩薩嶺の頂上を極め、またこの場所に戻ってきます。
山頂は森そのものなので、景観を望むならここが一番です。
天気の回復が見込まれる午後に期待したいですね。
大菩薩嶺の頂

雷岩から大菩薩嶺の山頂へ向かいます。
先ほどの雷岩の解放感とは打って変わって、森に突入します。
夏は、信じられないくらい虫が多いですが、今の時期はまだ全然マシです。

山頂まではほぼ同じような景観が続き、コメツガ原生林が常に我々を覆っています。
こういう場所では、どんな動物や植物に出会えるのか、そういう視点で山を見ると、尚楽しめます。
あまり変わり映えのしない景色、何か変わったものは無いかと見渡しながら歩いていると、微かに見覚えのある看板が見えてきました。

11時50分、大菩薩嶺の山頂です。
標高は2,057メートル、日本百名山として名高い名峰の頂ですが、山頂から展望が全くない山としても知られています。

特に目を引くものがない山頂ですが、また鹿が現れました。
今回も2頭、つがいで目の前を闊歩しています。こちらも全然人を怖がる素振りがありません。

鹿は我々を脅威とは認識しておらず、ひたすら草や苔にアプローチしています。
モンブランでもありましたが、山中で野生生物に遭うと凄くテンションが上がりますね。

さて、山頂で鹿に癒された後は、来た道を引き返します。
鹿を見れたのも幸運ですが、一度でもいいから良い景色を拝みたいと、更なる高望みをしてしまいます。
大菩薩峠の美しき稜線

12時16分、雷岩に戻ってきましたが、先ほどよりも視界が開けつつあります。
先ほどは全く見えなかった大菩薩湖が眼下に現れました。

雷岩で休憩をしていると、豁然として目の前に塩山の市街地が開けてきました。
晴れそうな瞬間はあったものの、ここまで基本的にガッスガスだったので興奮が抑えられません。

そして、大菩薩峠の美しい稜線です。
琥珀色の高級絨毯のような気品と美しさが目を引きます。
それだけでなく、奥に連なる小金沢連峰へ続く様子がワクワクする気持ちを奮い立たせます。
こういうのを見られるから、山登りは止められません。
休憩を挟んで、大菩薩峠へ向かい下山の路へ向かいます。

13時6分、標高2,000メートル地点です。
ちょうど2000年に設置されたということで、四半世紀の間、大菩薩峠を通過する登山者をずっと見守ってきた看板です。

一歩一歩進むたびに美しい稜線が近づいてきています。
手前を通過する雲がいいアクセントになって、益々美しい山肌が輝いて見えます。

大菩薩峠への下りで、1か所注意するポイントがあります。
ここは岩が部分的に敷き詰められた場所で、足元が安定しません。
今回、ライトマウンテンブーツを履いてきましたが、こういう所では足首の固定力と、固いソールによる地面からの衝撃吸収力の高さが光ります。

13時30分、賽ノ河原です。
もう少し歩けば親不知ノ頭、そして大菩薩峠につきます。

向こうに介山荘が見えます。
足元には、稀に乗っかっているだけの浮いた状態の石があるので下りでは注意するべきですね。

13時41分、介山荘に到着しました。
大菩薩嶺・大菩薩峠周回コースにおいて、眺望が優れているのはここまでとなります。
バッジや手ぬぐいをはじめとしたお土産も充実しています。
少し覗いてみましたが、昔買ったときとバッジのデザインが大きく変わっていて、購入意欲を掻き立てられます。

この看板、覚えているのですが、前に来た時とデザインが変わっていますね。
眺望がいい場所はここまでです。
富士山やアルプスは殆ど雲に隠れて見えませんでしたが、それは次回以降のお楽しみです。
樹林帯の中を下山

さて、介山荘からは上日川峠へ向けて下山します。
介山荘は分岐のポイントとなっており、南に進むと石丸峠や小金沢連峰へ向かうことができます。
そっちの道も、眺望に優れた登山道を進むことができるので、おススメしたい登山道です。

樹林帯の中の下山ですが、道は比較的明瞭であり、こうした看板も随所に設置されているので道迷いは起こりづらいです。
休憩できるポイントも割と多めにあるので、初心者の方でも気軽に登れる山の代表格だと思います。

14時31分、福ちゃん荘のある分岐点に戻ってきました。
午後になると、ぬかるんでいた道が乾き、下りやすい道となっていました。
今回自分が使った登山靴はスカルパのゾディアックテックです。
ソールの泥抜けが良くて助かりました。

福ちゃん荘から登山口までは、舗装された道で向かいます。
もう危険個所はありませんが、舗装路は硬いソールだと歩きづらいので膝に気を遣いながらゆっくり下ります。

14時50分、上日川峠に到着し、これにて登山終了です。
2018年以来に登った大菩薩嶺ですが、正直その時の記憶はもう無いので、新鮮な気持ちで登ることができました。
何よりも、一緒に登ってくれた同僚と山の話をしたり、登山にはまっていきそうな後輩に山の楽しさを広めながら登れたのが最高でしたね。
快晴であれば、富士山や南アルプスの眺望がすばらしい山で、アクセスも良く、登山の難易度も初心者の方にとって丁度いいので、関東近郊で手軽な山を探している方にとって最適な一座です!
今度は、大菩薩峠の向こうに見えた小金沢連峰を縦走してみたいですね。
5月12日
10:16 上日川峠発
10:37 福ちゃん荘(登り)
11:40 雷岩(登り)
11:50 大菩薩嶺
12:16 雷岩(下り)
13:06 標高二〇〇〇米地点
13:41 介山荘
14:31 福ちゃん荘(下り)
14:50 上日川峠着