梅雨も終わりに差し掛かり、猛暑がやってきました。どこにいても暑いので、東京からあまり移動費をかけずに登れる山で、手応えを感じるにはうってつけの塔ノ岳にチャレンジ。電車で片道1,000円程度で渋沢駅に行けるので、アクセス難易度はかなり低く、何となく山に行きたい時は塔ノ岳が第一候補になります。
大倉尾根には緊急時の通報用看板が設置されており、ナンバーは登山口の0から、山頂にかけて45まであります。今回はそれに注目しながら、どのセクションがきつかったのか、確認していこうと思いながら登りました。
登山データ
活動時期 | 時間 | 歩行距離 | 累積標高 | コース定数 |
2023年7月10日(1Day) | 7時間16分 | 21.7km | 1,434m | 39 |
渋沢駅から塔ノ岳入口
6時39分、表丹沢の玄関口である渋沢駅に到着。改札を出て北口へ向かいます。今日は月曜日ですので、そこまで登山者らしい方は多く見られませんでした。これが土曜日ならトイレが長蛇の列になります。
渋沢駅の外観。バスの場合は駅舎の近くにある2番乗り場から、大倉行きが出ています。現在6時45分ですが、ものすごく暑いです。30度くらいあるような気がします。登山口までは徒歩で向かいます。
6時50分、途中の陸橋から丹沢山塊が見渡せます。目に見えている範囲だけでも壮観ですが、あの奥にも峰々が連なっていると考えると、かなりワクワクしてきますね。
7時34分、渋沢駅出発から歩いて1時間弱で登山口に到着。バスもここで停まるので、ここが大倉尾根のスタートラインです。
7時44分、民家の横を抜け、大きな案内看板が見えてきました。
左の方向へ登山道に入ります。右方向に行くと、いずれ道がなくなります。
大倉尾根の洗礼(No.0~No.17)
7時45分、今回は左の緊急時の通報用看板に注目して登ります。塔ノ岳山頂までナンバーが割り振られており、何度も塔ノ岳に登っていると、山頂までの進行度の目安になります。No.0からスタート。
7時49分、No.1の看板。まだ普通の林道なので、特にきつくないです。奥の縦に割れている看板は、「克童陶房」と書いてあります。
7時51分、No.2の看板。まだ緩やかな林道が続いているので、何も警戒するところはないです。ハチなどのやや大型の虫が多いので虫よけ対策は忘れずに。
7時55分、No.3の看板。この辺りから徐々に大倉尾根らしい階段状の登山道になっていきます。
同じような登りがずっと長く続くので、大倉尾根はバカ尾根と呼ぶ人も多いです。
加えて今回は猛暑だったため、ちょっとでも水分・塩分補給を怠ると、絶対に熱中症になります。
7時59分、No.4の看板。水平距離は稼げていますが、あまり標高は変わっていないような印象を受け、それゆえに負荷のかからない道が続きます。
これから向かう鬼のような道に比べたら、この辺は天国のようなものです。
8時5分、No.5の看板。まだきつくはないです。そのかわり気温がどんどん上がっており、力任せにどんどん登ってしまうと足が痺れて先々を乗り切れないので、水は惜しみなく飲みます。今回はスポーツドリンクを3リットル持ってきております。
8時10分、No.6の看板。大観望との分岐地点です。画像には映っていないですが、右のほうに大展望を回避するルートがあります。観望ルートを回避すると10分くらい巻けることもあり、大観望に向かう人は多くはありません。
8時22分、No.12の看板。No.7からNo.11は大観望方面にあるのでしょうか?
強い日光は木々が遮ってくれるのですが、風があまり感じられないので、昼に近づくたびに暑さが増します。
No.12看板のあたりは休めるところもあるうえ平坦なゾーンが多いので、大倉尾根の貴重な癒しポイントです。
8時24分、No.13の看板。見晴茶屋付近です。奥にあるのは有料トイレですね。
見晴茶屋からは東側が開けており、このような景色が見渡せます。ずっと樹林帯の中を進んでいたため、序盤の展望ポイントですが道幅はそんなに広くないので、混雑具合や、すれ違いのタイミングによってはスルーせざるを得ないこともあります。
8時25分、No.14の看板。傾斜が出てきました。No.12の看板からここまで短いうえに傾斜もそこまで無かったので、体力には余裕が出てきたタイミングで挑みます。大きめの岩が多いので、特に下山の際は注意したいですね。
8時29分、No.15の看板。傾斜はあるものの、急登というわけではないので耐えられるレベル。あまり休憩するポイントがないので、休みたいときは少し脇道にそれて立ち止まるしかないですね。
8時32分、No.16の看板。相変わらず無心に登り続けます。ヤマビルの発生で悪名高い丹沢ですが、今回の山行では見かけませんでした。ですが、特に休憩中はヤマビルに要注意ですね。彼らは二酸化炭素と熱に反応して寄ってくるので、気づかないうちに足に登ってくることもあります。
8時34分、No.17の看板。大倉尾根前半の中では、No.17~No.18間が一番きついと感じました。単純に傾斜がきついのと、次の看板までの距離が長く感じ、息が切れます。ペースを落とさずに突き進んだのが間違いでした。
遠い展望(No.18~No.37)
8時40分、No.18の看板。登山口からだいたい1時間で一本松。
No.17の看板からここまで体力を消費したので、「塔ノ岳 4.0km」が果てしない距離に感じます。
8時43分、No.19の看板。大倉尾根は確かにしんどいですが、きつかった!休憩したい!と思うタイミングで平坦で進みやすい道が来るケースが多いので、飴と鞭を交互に与えられている感覚です。
No.19の看板のあたりは癒しポイント。きっつい登りで乱れた呼吸を整えるにはうってつけです。
8時48分、No.20の看板。ちょっとずつ道幅が狭くなっていきます。
No.19の癒しポイントも終わり、再び目線が上向きになります。
こんな感じの木の階段が目立つようになってきました。全体的に地面が固いうえに傾斜も急登というわけではなく、階段の幅も極端に狭いところはないので、ストックとの相性が良いです。
8時54分、No.21の看板。このように階段が中心のポイントです。地図で見ると等高線の間隔が狭いですが、その所以がこの階段です。階段の間隔が狭いので、一段一段ゆっくり登っていけば、見た目ほどしんどくはありません。
8時59分、No.22の看板。緑の外観が印象的な駒止茶屋があります。地図上では、ちょうどこのあたりが塔ノ岳と登山口の真ん中あたりですね。
9時3分、No.23の看板。めちゃめちゃぬかるんでいます。
そして、丹沢といえばこの木道ですね。植生保護のために木道上を歩くのが鉄則です。
9時6分、No.24の看板。この辺りは、あまり標高を上げずに平坦に進みます。ただし道幅はやや狭いので休憩には適していません。
地面も、このようにぐっしゃぐしゃな所が多く、見た目通り滑ります。誰かが転倒したような跡もありました。
ちなみにこの辺は堀山のピーク付近になります。ピークらしい目印は見当たりません。
9時8分、No.25の看板。ピークを過ぎたので、この先は下りになります。
塔ノ岳まで2.8km。とはいえこの先も相当しんどいので、これを見てもあまり安心できないですね。
一瞬だけ休憩をはさみ、気合を入れ直して再出発。
9時10分、No.26の看板。ここもまた、ゆるやかな下りが中心のセクション。しかし暑さのせいか、体力はあまり回復できていません。逸るペースを抑えながら、進んでいきます。
標高は900mを少し超えたくらいですが、暑さは下界と殆ど変わらないと思います。まだあまり変わり映えのしない景色ですが、塔ノ岳は展望が見えてから物凄くテンションが上がるので、それを楽しみに無心で登ります。
9時14分、No.27の看板。再び登り中心の道中となります。堀山の家まであと少し、気張って一歩ずつ進みます。
9時16分、No.28の看板。堀山の家があるポイントです。ここで3分ほど休憩。
この辺りは小石が多いのと、土が滑りやすいので転倒注意。
過去に、ちょうどこの近辺で下山時に2回転倒した経験があるので慎重に行きます。また、この先本当にきついので休息は十分にしていきたいです。
9時23分、No.29の看板。それなりの斜度があるうえ、看板に書かれている注意の通り足元は滑りやすいです。
9時26分、No.30の看板。ここからNo.31までは、後半の道のりの中で一番きつい区間でした。
足を止めて休憩しながら登っている方も少なくありません。
9時33分、No.31の看板。No.30からここまでが非常に体力を使うセクションだったため、ペースを著しく落としています。
この区間、階段状の道がずっと続いています。一段一段の間隔が狭いので、歩幅が小さくて済みます。親切設計ですね。
9時37分、No.32の看板。天神尾根との合流地点で、戸沢方面に下りることもできます。
9時38分、No.33の看板。1つ前の看板からは、ほどなくしてたどり着けます。
きつい区間を越えたオアシスポイントです。
木道と、脇に休憩できるベンチが置いてあります。当然ベンチは直射日光にさらされてアッチアチなので注意。
9時42分、No.34の看板。階段ゾーンとなっています。オアシスポイントも束の間、見える先まで階段が続きます。
トレイルランナーの方は、この階段を2段飛ばしで下っていました。塔ノ岳までの道のりは、トレイルランナーのトレーニング場でもあります。
9時46分、No.35の看板。まだ階段ゾーンは続きますが、傾斜はきつい訳ではないので、今まで通り息が上がらない程度のペースを守れば問題ないです。
階段も、このように敷き詰められた小石に埋まっているような形になっています。
膝に優しいつくりなので、こういう風に傾斜をつけずに形成された階段には、とても好感が持てます。
ところが、下山では小石が牙を剥き、滑りまくるので要注意。雨の日なんて最悪です。
9時50分、No.36の看板。ここにきて、ようやく風を感じることができました。
個人的に、大倉尾根が楽しいのはここからです。やっと展望が開けてきます。
大岩がゴロゴロ。手を使うまでではないですが、今までの階段がどれだけ優しかったかが身に沁みます。
この辺りからは遮る木も少なくなり、直射日光が肌を焼きにかかってきます。
やっと富士山に会えました!相変わらず見るだけで元気をもらえる不思議な佇まいです。
先ほどから遠くのほうでずっと雷鳴が聞こえるな、と思っていましたが、西方面は雲海に包まれていました。
9時54分、No.37の看板。開けた展望にテンションが上がりましたが、ギンギンの日差しが容赦なく降り注ぎ、改めて日焼け止めを塗りたくります。それでも汗で一瞬で流れ落ちちゃうので難儀なもんです。
花立山荘までの最後の階段です。決して厳しい傾斜ではないものの、暑さから信じられない勢いで体力が持っていかれます。
階段を上り切った先に、絶好の休憩ポイント花立山荘に到着。
ここは、かき氷が名物ですね。ちなみに土日のみの営業なので、本日はお休みです。
絶景を堪能しながら、最後の登りに備えてしばらく休憩。
暑さとの戦い(No.38~塔ノ岳山頂)
10時2分、No.38の看板。出発しようと思ったものの、うだるような暑さのため水筒の水を入れ替えるべく、もうしばらく休憩。3リットルあった水ですが、もう半分ほど飲み干しました。
花立山荘から南東の方向を望むと、秦野の町が見えます。冬季など、乾燥していると相模湾まで見渡せるビュースポットです。
西の方向は相変わらず下界が雲に覆われています。5分に1回くらい、ゴロゴロと雷鳴が聞こえますが、こっちに来るような雲ではありません。
しばし絶景を堪能したら、重い腰を上げて再スタート。
10時11分、No.39の看板。目立った汚れもない綺麗な看板ですが、謎の落書きのようなものが書かれたシールがあります。これが電話番号とかを覆っていたら有事の際めちゃくちゃ困るので勘弁してほしいですね。
どんなに暑くても後ろには素晴らしい景色があるのでテンションは高いです。
この辺り、スズメバチが飛んでおり、無理に払ったりすると怒り狂って突進してくるので、落ち着いて離れ続けるしかないです。そのうち追ってこなくなります。
10時16分、No.40の看板。No.39の看板からそこまで距離はなかったものの、茹で上がるような暑さにペースを落とさずにはいられません。
10時21分、No.41の看板。この先道幅が狭いですが、次の看板までの距離が短いです。
上りの場合、西側が切れ落ちているので注意。
10時23分、No.42の看板。No.41の看板からすぐです。さらに言えば、次の看板も近いので終盤のオアシスと言えます。
道幅はやや狭いので、すれ違う時は注意が必要です。
10時25分、No.43の看板。最後の分岐、金冷しです。ここを左に行くと、鍋割山へ行くことができます。
高低差でいうと、残り凡そ100mほど、最後の一登りです。
10時29分、No.44の看板。滝汗が止まりません。ふつうの塩飴が最高級に美味しく感じます。いつ熱中症になってもおかしくないような気温の中、一歩一歩踏みしめて進みます。
このような道が続いており、どちらかというと木道より階段の方が歩くリズムが取りやすいので、階段を進みます。
10時35分、No.45の看板。大倉尾根では最後の通報用看板となります。
ここまで来れば、塔ノ岳山頂はもうすぐそこ。バテバテの体を鼓舞しながら力を振り絞って進みます。
10時42分、塔ノ岳登頂。標高が1,491mと、それほど高くないので甘くみられがちですが、むしろ日帰りをするなら想像以上に大変な山です。それでも、大変だった山行を労ってくれるかのような光景が広い山頂から見渡せるので、何度訪れても素晴らしさを実感させてくれます。
塔ノ岳山頂には尊仏山荘が建っており、眼下の素晴らしい夜景が見たい方や、蛭ヶ岳方面に向かう方の中継地として非常に有難い山小屋です。
西丹沢は雲の中、富士山の方向は雲海が広がっており、1,500m弱からでも雲上の世界を体感できることに感動してます。
風は殆どないので、立っているだけでも暑さが体に響きます。今なら爆風が吹いても許せます。
蛭ヶ岳方面。丹沢山まで行くことはありますが、丹沢山は殆ど眺望がないので、ここで引き返す方も多いです。
今回は計画に無かったことと、暑すぎてこれ以上の山行は出来ないと思ったため、塔ノ岳ピストンとしました。
山頂の様子ですが、平日なので人がまばらです。休日だと、山頂はベンチを中心に物凄い賑わいを見せます。
山頂でゆっくり休める場所が多いことも塔ノ岳の大きな魅力です。コッヘルを使って調理するにはうってつけですが、今日のような暑い日はゼリー状のものが恋しくなります。
山頂でしっかり休憩をはさんで、安全に下山するための英気を養います。
充実の塔ノ岳山行(塔ノ岳山頂~渋沢駅へ下山)
10時53分、しっかり休んで体力を満タンにしてから下山。
この、山頂から街に降りていく感覚が堪りません。
下山はストックを使いながら、できるだけ膝に負担をかけないように進みます。
塔ノ岳はアクセスが簡単なこともあり、気軽に行きやすい山なので、登ってくる方はソロの方が6割くらいを占めているように感じました。
大観望との分岐まで降りてきました。大観望の方では、この辺りで唯一テントを張れる大倉高原テントサイトがあります。水分の残量が心配だったので、できるだけ巻いて下山するために大観望を経由せずに下山。
13時3分、No.0の看板まで下りてきました。頂上手前で見た、塔ノ岳までの「0.6km」と、この大倉バス停までの「0.6km」では感じ方が全然違います。こっちは目と鼻の先のような感覚です。
登山の終わり際、無事に山行を終了することができた達成感と共に、寂しさを感じることがあります。
今回は暑さが全てを支配していたので、寂しさなどは全然なく、ホッとした気持ちが100%です。
大倉から渋沢駅まで、徒歩で向かいます。今日の気温を考えると、場合によっては水3リットルでは足りない可能性があったため、大きな反省点です。
大倉から市街地へ向かう道も、丹沢山塊の雄々しさを感じることができるので、私は非常に好きな道です。
14時ちょうど、渋沢駅まで戻ってきました。地上で感じる暑さと、山登り中に感じる暑さは質が違うように思います。地上では下から感じる暑さが堪えるので、ムシムシします。
梅雨明けも近いタイミングの中、塔ノ岳で最大限夏を実感できたので、今シーズンの楽しみがより一層増した山行となりました!
今回は何度もお世話になった塔ノ岳への山行で、緊急時の通報用看板を用いて、各セクションでどれくらい時間をかけたのかを確かめながら登りました。最もしんどかったセクションはNo.30~No.31の間、次点でNo.17~No.18の間と感じました。
バカ尾根と呼ばれるくらい単調で長い印象のある大倉尾根ですが、抜群のアクセスと手ごたえを感じられる難易度から、何度も挑戦したくなる素敵な山なので、ぜひ一度体験してみて欲しいです。
6:39 渋沢駅発
7:44 大倉尾根登山口(No.0)
8:10 大観峰分岐(No.6)
8:59 駒止茶屋(No.22)
9:16 堀山の家(No.28)
10:02 花山山荘(No.38)
10:25 金冷し(No.43)
10:42 塔ノ岳山頂着
10:53 塔ノ岳山頂発
12:41 下山時の大観峰分岐(No.12)
13:03 大倉尾根登山口(No.0)
14:00 渋沢駅着