【日帰り登山】日本三大急登!土合駅から西黒尾根を経て谷川岳へ

盛夏の中、土合駅から西黒尾根を経て谷川岳に登りに行きました。

なんとこの西黒尾根、日本三大急登として名を馳せていて、地図を見ても序盤から等高線の幅が詰まっていることから、結構な急登であることがうかがえました。

ただ、登り始めてすぐ、こんな信じられない暑さの中で登るべきではないと痛感してしまいました・・・。

目次

登山データ

活動時期時間歩行距離累積標高コース定数
2023年8月2日(1Day)5時間31分9.1km1,480m30

土合駅の無限階段

8時37分、東京から高崎駅→水上駅→土合駅と乗り継いで土合駅へ到着。かなり涼しいです。

ド平日の水曜日だったこともあり、登山の恰好をした方も思ったほど多くはなく、20人ほどでした。

土合駅と言えば、日本一のモグラ駅として有名です。日本一低所にある駅なのではなく、ホームと駅舎との標高差が日本一大きいという意味合いで、日本一の名を冠しています。

階段はこのように無限に続いているように見えます。462段と、その先に24段を登り切って、ようやく地上に出られます。

最初はゾクゾクしながら登れますが、200段目あたりから余裕が無くなり、無心で登ることになります。一方、階段の段差は割と良心的で、登りやすい設計になっています。途中に腰掛けられるベンチが1か所あります。

階段を登り切り、駅の外はこのように解放感があります。なお、土合駅は基本無人で改札もないので、都心からICカードで入場した場合、一度水上駅などで出て、改めて土合駅までの切符を買っておきましょう。切符は回収箱があるので、そこに入れて退場します。

土合駅から登山口まで、ちょっとばかり歩きます。途中のトンネルに、工事用信号がありました。

歩行者は注意して歩かないといけませんが、向こうから車が来ることはありませんでした。

谷川岳は、ロープウェイがあります。ロープウェイとリフトを使って、天神尾根から登る方法が最もポピュラーで、日帰り登山をする場合の強い味方です。

今回は、上りではロープウェイを使わずに、この先の西黒尾根登山口へ向かいます。

日本三大急登!酷暑の西黒尾根

土合駅から少し歩いて、西黒尾根の登山口に着きました。2.1kmも歩いたような感覚はありません。現在9時13分、すでに水分補給が必要なほどの暑さです。

準備運動を終えて、意気揚々とスタート!

序盤から急登で足が進みません。何よりも、想像以上の暑さに体力を持っていかれ、汗が滴り落ちます。

暑すぎてカメラのレンズが謎に曇っています。西黒尾根をスタートして15分ほどで、少しだけ開けた場所に出ます。日光を直に浴びると、一気に体温が上がるので出来るだけ日陰を移動して登り続けます。

日本三大急登は甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根、烏帽子岳のブナ立尾根、そしてこの西黒尾根が挙げられていますが、その中では西黒尾根が一番つらくないルートだと言われることが多いです。

実際甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根は2度経験がありますが、あれは西黒尾根の比では無い程、相当きついです。

それでも西黒尾根は平均的な登りのルートより難易度・体力共に上のレベルであることは間違いありません。

序盤~中盤の登りでは、たまに手を使って木の根を越えるような箇所があります。湿っている場合が多いので、すべらないようにグローブがあると尚良しです。

暑さでヘロヘロになりながら登っていると、いかにも視界が一気に開けそうな雰囲気の光景が目の前に!

期待を持って一歩ずつ進みます。すると・・・

期待通り、何ならそれ以上の風景が一気に飛び込んできました。深い森がはっきりと見えます。

さあ、ここからは直射日光を浴びながらの西黒尾根核心部へ向かいます。

樹林帯を抜けると、鎖場が連続して現れます。1つ目の鎖からこの角度!

鎖場に関しては、絶対に晴れているほうが通過しやすいので、今日は条件が良いです。岩場はかなり急ですが、足をかける箇所が分かりやすいので冷静に三点支持を守って登りましょう。

鎖場を越えると、ついに谷川岳の最も怖い部分が姿を現しました。

谷川岳は世界一死者を出しているギネスの山として知られています。一ノ倉沢の急峻な岩壁と、怪しげな雲を見て分かる通り天候の変化も激しいことによる遭難が多いことが、その所以です。

一ノ倉沢方面。見れば見る程凄まじい崖です。この先、西黒尾根の北側はたまに視界が良くなるので、視界が開けるたびにあれを目に焼き付けることになります。

一方、南側を見ると天神尾根とロープウェイ乗り場が見えます。豪壮な一ノ倉沢と違って、嬋媛な印象を受けます。

後で天神尾根から来た方に聞いてみたのですが、ロープウェイから西黒尾根の道がしっかり見えたそうです。

道幅は、そんなに余裕がありません。転倒して南側に落ちないよう、集中して進みます。

2つ目の鎖場です。先ほどの鎖場よりも角度が急で、足がかけられる場所が見えにくいです。

晴れていたから良いものの、岩場が濡れていたら果てしなく滑ります。

こんな感じで、足を高めに上げないと届かない箇所もあります。岩もツルツルな場合が多く、一度岩に足をかけて感触を確かめながら登ります。

10時56分、ラクダの背です。ここから先は、草木よりも岩場が目立つような地形になります。

暑さは増すばかりですが、良い感じに風も吹いているので、樹林帯で経験した蒸し風呂のような暑さではありません。

大きな岩に、矢印がペイントされています。これのおかげで迷う心配は殆どないですが、足元が悪いので目線がどうしても下がりがちです。

聳え立つ岩壁ですが、足場は非常にしっかりしているうえに、そこまで狭くありません。

そのぶん、見えている以上に上が遠いです。全然進んでいる感じがしません。

登りでは、最後の鎖場です。いままでの鎖場よりも易しいですが、疲れ切った最中に集中力を欠いていると、転倒してしまいまうこともあるので、改めて集中し直します。

ザンゲ岩です。これが見えたら頂上まであと僅か!暑さと急登に苦汁を飲まされ続けた西黒尾根に終止符を打ちます。

ここまで来れば、頂上への稜線に出ます。上の方からは、天神尾根から登ってきた登山者の賑わいが聞こえます。

力を振り絞って、稜線まで一気に登り切ります!

双耳の頂からの絶景 谷川岳登頂

西黒尾根を登り切り、絶対に期待してしまう光景が目の前に出てきました。

あそこに、頂上や山荘を示すオシャレな案内板があります。

これが見たかった!万太郎山へ続く美しい稜線が谷川岳の見どころですが、この山域は荒天になりやすく、簡単にはお目にかかれない光景です。手前には谷川岳肩の小屋があり、そこからでも眼前に素晴らしい眺めが望めます。

全てが解放されるビクトリーロードの先、トマの耳山頂です。後ろの鉄床雲もいい味を出しています。

テンションを最大限まで上げて、山頂に向かいます。

12時7分、谷川岳・トマの耳(1,963m)登頂!平日ですが、山頂には写真を撮るための行列ができていて、夏休みの期間ということもあり、お子様連れで登山をされている方も多いです。

トマの耳から見たオキの耳です。谷川岳は双耳峰で、オキの耳の方が若干標高が高いです。あちらの山頂にも、数人が立っているのが見えます。

万太郎山への至高の稜線。あまり晴れるイメージのない山域なので、こんな素晴らしい光景が見れるのは幸運と言わざるを得ません。

12時40分、谷川岳・オキの耳登頂。トマの耳からは、20分ほどで着きます。こっちの方が若干標高が高いですが、トマの耳の時点で抜群の絶景が拝めるので、オキの耳にはいかないで引き返す方も少なくありません。

天神尾根からロープウェイで下山

下山時に立ち寄った谷川岳肩の小屋です。天気がいい日は、ここからでも目の前の素晴らしい稜線を眺めることができます。

天神尾根から下山します。西黒尾根は、登りの手応えは抜群ですが、下山では急峻な岩下りにおいて常に危険が伴うので、少しでも安全に下山したいと思い、天神尾根からの下山を選択。

水上の街並みを見ながら下山。階段状に道が整備されているので、下りやすい道となっています。

天神尾根も、一部こんな鎖場があります。画像は鎖を降り切ってから見上げたものです。足場はしっかりしているので、鎖を使わずに下ることも可能ですが、角度は割と急です。

木々が道を覆っていますが、こうしてみるとあまり起伏が無いように感じます。真ん中右にちょっと見える避難小屋からロープウェイ乗り場までの標高差は100メートル程度です。

避難小屋です。中はファミリーで賑わっていました。ロープウェイからこの避難小屋までの距離よりも、避難小屋から谷川岳山頂までの距離の方が長く感じました。

避難小屋からロープウェイまではやや平坦な道になります。このような木道も整備されていました。天神尾根は人気なので、道が二本設置されているのも有難いですね。

避難小屋から30分ほどで、ロープウェイ乗り場に到着。気温はどんどん上がっているはずなのに、心なしか西黒尾根の登りのときよりも涼しい山歩きが出来たように感じます。

受付で片道のチケットを購入後、ロープウェイに乗ります。片道だと1,800円。

15時4分、土合駅まで下りてきました。電車の本数があまり多くないので、下山時の時間を逆算して計画を立てる必要があります。この近くにあるベースプラザには、1,500台も車が停められるそうなので、車で来てマイペースに登ってみても良いかもしれません。

実はこれまで訪れたことのなかった谷川岳。暑さに音を上げた険しい西黒尾根と、圧倒的安心感のある天神尾根、両方とも別ベクトルの楽しさがあり、もう1度登ってみたい!と思わせる素敵な山です。休日は季節を問わず混雑する印象があるので、次も平日に来て楽しみたいですね。

コースタイム

8:37 土合駅発

9:08 谷川岳ロープウェイバス停

9:13 西黒尾根登山口

11:45 ザンゲ岩

12:07 谷川岳(トマの耳)

12:27 谷川岳(オキの耳)

12:58 谷川岳肩の小屋

13:23 天狗の留まり場

13:45 熊穴沢避難小屋

14:11 天神平駅(ロープウェイ乗り場)

15:04 土合駅着

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