今回の舞台は、憧れのヨーロッパアルプス、その最高峰に鎮座するモンブランです!
準備を万全にしたうえでソロでモンブランに挑戦した記録を残していきたいと思います。
モンブランに登ってみたい方、ソロでの海外登山に興味のある方、そして自然が好きな方のお役に立てれば幸いです!
そもそも今回モンブランに挑もうと思った原点は、小学生の頃に読んだ野口健さんの
『あきらめないこと、それが冒険だ:エベレストに登るのも冒険、ゴミ拾いも冒険!』(学習研究社,2006年)
という本です。
そして、その野口さんが影響を受けた植村直己さんの
『青春を山に賭けて』(文春文庫,1977年)
を読んだことです。
当時は、「面白かったな~」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、この時すでに自分の中にちょっとした冒険心が芽生えており、大人になってから、その冒険心が行動する情熱になったことがきっかけでした。
情熱のままに、単身でモンブランに挑んだ記録を、何回かに分けて述べていきたいと思います。
登山データ
| 活動時期 | 時間 | 歩行距離 | 累積標高 | コース定数 |
| 2023年8月22日(3Days) | 23時間50分 | 17.3km | 2,810m | 53 |
レ・ズッシュからロープウェイでベルビューへ
日本から乗り継ぎを経てチューリッヒ空港、そこから電車でシャモニー入りしたのが2023年8月20日。
モンブラン登山では、もちろん入山する日の天気も大事ですが、その2日くらい前からの天気も気になっていました。
もし山の上のほうが荒天だった場合、当日にクレバスが見えなかったり、道が荒れてしまったりして、早々に途中で引き返すことも視野に入れていたからです。

そんな不安を抱えていざシャモニーに入ってみれば、ドピーカンの快晴!
雲一つない澄徹した空に、白いヨーロッパの天井が映えます。

そして、空模様は相変わらず安定している中の8月22日に、ロープウェイ乗り場に到着。
実質の登山口となるニー・デーグルに向かうためには、レ・ズッシュからこのロープウェイでベルビューに向かい、更にそこからトラムでニー・デーグルに着きます。
なお、ロープウェイのチケットは事前にWebで購入していたので、受付の方に印刷していたチケットを提示するだけで、すんなりパスできました。
チケットの購入方法は、以前の記事で詳しく記載していますので、参考になれば幸いです。

入り口を入ると、すぐに階段があります。
壁には、至る所に画像や文章がちりばめられており、ちょっとソワソワしますが、何となくテンションが上がるのを感じます。
もしこれが病院の壁のような無機質なものだったら、こんなにテンションが上がることは無いと思うので、凄い効果ですね!

これがロープウェイです!ベルビューまでは5分くらいで運んでくれます。
もちろん海外のロープウェイに乗るのは初めてなので、どう乗るのだろう?
と少し警戒していましたが、普通にロープウェイに乗って少し待てば、そのうち係員が乗車して発車してくれます。

ロープウェイの中はこんな感じ。時刻は10時20分、おそらく混みやすい時間だったのですが、ギュウギュウになることはなく多少余裕はあります。
このロープウェイが意外と早い。おそらく木曽駒ヶ岳のロープウェイよりは間違いなく早いなと感じました。

ロープウェイの到着地点、ベルビューです!
前にいるパーティはモンブランに行くのかな?アイゼン装着できる登山靴に、ヘルメットが見えます。

ロープウェイ出口を左に曲がると、この解放感!
ここもじっくり歩きたい場所ですが、まずはトラム乗り場に向かいます。

十字路に看板があります。「Tramway du Mont-Blanc」の方面に行きましょう。
それにしても、ベルビューから色んな場所に行けそうですね。
もっと時間があれば、この辺をグルっと周遊してみたいなと思わせる程、のどかで落ち着いた風景です。

トラムの乗り場はあそこです。めちゃめちゃ分かりやすい案内板があるので、迷うことはないですね。
ロープウェイを降りた人のほぼ100%がトラム乗り場に向かっていきます。
トラムでニー・デーグルまで

ここがトラムの乗り場です。
受付の方は小屋に常駐していて、ニー・デーグルまで行きたい旨を伝えると、切符をくれます。
その際、山小屋の予約リストのようなものを取り出して、
テートルース小屋もしくはグーテ小屋に予約をしているのか?
をチェックされます。
もしかしたら山小屋を予約していなかった場合、切符が貰えない可能性がありますね・・・。
私も自分の名前を伝えたところ、日本人の名前が珍しくて名前が見つけづらいからか、受付の方にリストを渡されて
「一緒に名前を見つけてください」
と頼まれました。
無事にテートルース小屋で予約されていることを確認すると、チケットを頂けました!
その際受付のお姉さんに、
「帰りのトラムは、出発時間が8時・12時・16時の3回なので気を付けてくださいね!」
と忠告してくれて、めっちゃ優しく教えてくれました。
事前に調べていた情報ながら、すっかり忘れてしまっていたので本当に有難かったです!

ニー・デーグル行きのトラムは11時50分なので、それまでここで待ちます。
その間、何回か別の行き先のトラムが行き来していました。
これは別の行き先のトラムですが、
本当に時間通り来るのか?もしかしたらコレなんじゃないか?
と疑心暗鬼になってしまいます。

時間よりちょっと遅れてトラムが到着!ニー・デーグル行きのトラムに次々と登山者が乗り込んできます。
乗車の際、スタッフのお兄さんに行き先を
「ニー・デーグルまで」
と告げると、
「ザックはそこに重ねて置いてくれ」
と、入口近くにあるザックの置き場を指定されます。
ほとんどの乗客がザックを背負っていたので、ドサドサと重ねて置いていきます。
車内は木を基調とした温かみのある座席に、清潔感のある車両で居心地最高です!

車窓から見える景色は絶景そのもの!
目指す山がどんどん近づいてくる高揚感は、ここでしか味わえない体験です。
乗っている間は本当に幸せな時間が流れていることを実感しながら、トラムはゆっくり進んでいきます。

しばらくすると、すごい微妙な場所でトラムが停車。
と思ったら、どうやらここがニー・デーグルだとのこと。
あれ・・・事前に調べていた場所とずいぶん印象が違うな・・・?
と思いながら下車。
乗っていた乗客も、みんな続々と下車していきます。

降ろされた場所は、ロープは張られているものの、観光地にしてはちょっとばかり危険な場所・・・。
いそいそとザックを背負い、とりあえず広い場所を目指して向こうの方へ歩いてみます。

どうやら本当のニー・デーグルはこんな風に工事をしている模様。
完成したら、ちゃんとココが終点になると思うので、完成したらもう一回訪れてみたいですね!
モンブラン登山スタート!

この梯子からがモンブラン登山のスタート!
この時点で標高も2,300メートルを超えているので、息が上がらないよう極めてゆっくり登って進んでいきます。
今日のゴールはテートルース小屋ということで、そこまで標高も上がらないうえに道もあまり難しくありません。
多く見積もって3時間での到着を見込んでいます。

最序盤から、まあまあ急な傾斜を登っていきます。
早く行く必要がないので、前の登山者についていくような形で登っていきますが、
「after you(お先にどうぞ).」
と道を譲っていただく形になりました。
道を譲ってもらうと、
「ちょっとペースを上げないといけない・・・」
という謎の責任感が生じてしまうので、ちょっとばかりペースが上がります。
それにしても、富士山のときにも思いましたが海外の登山者の中には、信じられないスピードで登っていく猛者がたびたび見受けられます。
絶対に真似できないな、と思いながら視界から消えていく登山者を見送ります。

ちょっと振り返ると、少し見切れていますが素晴らしい景色が!
序盤の急登の合間に振り返っては、目で体力を回復させての繰り返しで、なんとか登っていきます。

ケルンのある大きな岩でちょっと休憩。
上を見上げると、よーく目をこらすと中央ちょい左の最も高い部分にグーテ小屋が建っているのが見えます。
さっきの時間にニー・デーグルで降りた登山者は、その多くがテートルース小屋に宿泊しますが、中にはあのグーテ小屋まで向かう方も居そうですね。
この時期のヨーロッパ(シャモニー付近)は日の入りが20時過ぎなので、割と遅い時間に到着しても山小屋は受け入れてくれます。
日本だと15時くらいまでには山小屋に着いておくことが定石なので、その辺の感覚は全然違いますね。

標高は3,000mに満たないくらいですが、あまり植物は見られません。
大小さまざまな岩がゴロゴロ転がっています。
ちなみに登山道は結構分かりやすく、足元をしっかり見て歩けば道を外れることはありません。
この時は、こういう分かりやすい道がずっと続いているものだと思っていました・・・。

ニー・デーグルから1時間ちょっとで、だいぶ開けた岩場に着きました。
ここから登山道は南東方面に方向を変えます。
相変わらずグーテ小屋はバッチリ見えていますが、テートルース小屋の姿は見えません。
それ以上に、グーテ小屋が建っている凄まじい巨岩と言うか、崖というか・・・
どこを通って小屋まで行くのか、登る前からビビッてしまっていますが、同時に
「早くあそこに行きたい!」
というワクワクも止まりません。

少し下を見ると、シャモニーの街とル・ブレヴァンをはじめとした周辺の山々が見えます。
山肌に、雲の影がくっきりと映し出されていて、何となく見ているだけでもノスタルジーな感覚です。
ニー・デーグルからテートルース小屋までは、900m弱の標高差があります。
標高だけでいえば、すでに2時間歩いてきたため残り3分の1程です。
ですが、今のところ難所という部分はありません。
事前準備の段階で個人的に警戒していたのは、テートルース小屋前の氷河渡りだけでした。

テートルース小屋まで続く道は、ちょっと細くなります。
ロープが張られている箇所が多いので、まだ安心感はありますが油断できません。
あまり下りの登山者とすれ違うことがなかったので良かったですが、富士山吉田口ルートみたいに渋滞していたら・・・
と思うと途端に怖くなってきました。

テートルース小屋までで一番狭い道だと、このくらいです。
結構狭いので、落ち着いて進みます。
冬用の登山靴なので、足の運び方はいつもより慎重にならなくてはなりません。
なお、テートルース小屋までの道には、正しい登山道を示すペイントがあるので、登りはこれを見落とさないように登れば大丈夫です。
ただ、下り用のペイントは全然見当たりません。

見えてきました!
ずいぶん奥にありますが、テートルース小屋です。
テートルース小屋までの道で一番警戒していた氷河も目立ちますが、思ったよりも規模が小さくなっているように見えます。

詰所?検問?のような場所です。
誰も居ませんでしたが、ここに来る途中に男女二人組の方から、
「山小屋の予約をしていますか?」「名前を教えてください」
と、問いかけられてリストで確認されました。
もしかしたら、ここで管理されている方が登山者をチェックしているのでしょう。
もし山小屋の予約をしていなかった場合は降りるように言われるそうです。

テートルース小屋までの注意ポイント、雪渓渡りです。
アイゼンはなくても大丈夫ですが、トレース上でも見た目通り滑ります。
多分今が一番雪がない状態で、ところどころ岩が露出しています。

15時4分、ニー・デーグルからおよそ2時間40分かけて、テートルース小屋に到着!
結構凄いところに建っていますね。
右端のところなんか浮いているように見えます。
テートルース小屋の素敵な内部

入口は2階なので、この階段を上がって入口へ。
階段の隙間から見える下の景色も、吸い込まれそうな程の青空も、何もかもが趣深いです。

受付と、食堂です。
宿泊費や売店のものなどはクレジットカード決済ができます。
しかも超綺麗な内装で、この山小屋目当てで宿泊するのも全然有りなレベルで居心地の良い空間です。

受付の右にある扉から、階段を下りてベッドに向かいます。
重厚な扉の外にあり、いきなり気温が下がります。

階段を下ると、いくつか扉があります。今回割り当てられたのは奥の部屋です。
特に男性・女性や年齢などで分けられているわけではないようです。

寝室はこんな感じ。
二段ベッドが8つくらいあり、夜はこのベッドが全て埋まるほどの人気です。
ベッドもかなり綺麗で、良い意味で驚きました。
快適すぎて、夕食の時間になっても寝過ごしてしまったためスタッフの方が起こしにきてくれました。
思ったよりも疲れていたようで、夕食後はそのまま倒れるように寝てしまいました。
明日は、いよいよ山頂へ一気に挑みます。
正確には、モンブラン山頂を経て、グーテ小屋まで安全に向かうまでがミッションです。
登りだけでなく、下りも集中力を切らしてはいけないので、睡眠はしっかりとって翌朝の2時半に出発する予定となっています。

日付が変わり、翌日の1時40分。ずいぶん早い時間ですが、私のほかに1組のパーティが準備を進めていました。
朝食は頼んでいないので、ここで準備をしっかり整え、日本から持ってきたエネルギーでしっかり補給をします。
いよいよ山頂に向かってロングコースの開幕です。
まずはクーロワールと言われる落石の難所を通り、グーテ小屋までの岩崖を一気に登ります。
そして、グーテ小屋から長く見積もって6時間で山頂を窮め、15時までにグーテ小屋への帰還を目指す計画となります。
かなり余裕を持ったコースタイムにしていますが、実はスイスに入った時点で乾燥により咳が出るようになってしまいました。
ニー・デーグルからテートルース小屋まで登ってきた感じだと、いつもより体力が無いことを実感していたため、こんな朝早い時間に起きて準備を進めています。
ヘッドライトの確認、グローブ・ハーネスの装着、靴紐の確認、準備運動・・・
全ての準備を整え、午前2時20分、意を決してモンブラン頂上に向けてスタートです!
