【厳冬期・雪山登山】硫黄岳~横岳~赤岳縦走

2023年初登山は、お気に入りエリアの南八ヶ岳定番縦走コース、硫黄岳・横岳・赤岳をテント泊で縦走しました。

年末年始と比べて、成人の日あたりは天気が悪くなりがちですが、2023年はこれ以上ない程いい条件で登ることができました。

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登山データ

活動時期時間歩行距離累積標高コース定数
2023年1月7日(2Days)13時間05分21.8km1,799m45

1日目 美濃戸口から赤岳鉱泉まで

スタッドレスタイヤを持っていないので、東京からあずさに乗って茅野駅へ、茅野駅からバスで美濃戸口に降り、10時20分に出発。長野県警の皆様が、登山口で安全登山を呼び掛けておりました。

美濃戸口から45分くらいで赤岳山荘着。ここまでは車も通れるので、アイゼンはつけずに轍を伝って歩きました。

ですが美濃戸口からアイゼン(もしくはチェーンスパイク)を使ったほうが楽です。

赤岳山荘からは北沢ルートで赤岳鉱泉へ向かいます。行者小屋は冬季は営業していないので、テント泊装備の方が南沢を選択します。

「山眠る」という冬の季語がありますが、冬の山は驚くほど静かです。ガシガシという自分のアイゼンの音しか聞こえません。

13時5分に赤岳鉱泉到着。すでに多くのテントが張られていて、鉱泉前などの一等地はすでに色とりどりのテントで埋まっています。辛うじてはじっこの方に張れましたが、さすが人気の山域ですね。

しっかりした山小屋あり、アイスキャンディーなどのアクティビティあり、水ありトイレありと、冬にテント泊をするうえで最高の環境がここにあります。しかも風も穏やかで言うことなし!

テントを張ったらゆっくり過ごし、翌朝早いので6時には寝ました。木のそばにテントを張ったので、たまにパウダー状の雪がテントを打ち付ける音がしましたが、疲れていたので環境音のような心地よさがありました。

2日目 硫黄岳~横岳~赤岳を縦走して一気に下山

午前4時、まだ誰も出発していない赤岳鉱泉を発ち、まずは2,760mの硫黄岳へ。ヘッドライトを点けて大体2時間で硫黄岳山頂到着。すさまじい暴風でカメラを構えてもブレブレ。じっとしていると寒いので、硫黄岳山頂をうろうろしていると、東の空が赤く染まってきました。この高揚感はこの瞬間でしか味わえません。

6時半、明るくなった東の空に、幻想的な雲海が広がっています。本当に美しい風景ですが、諏訪側からのとんでもない暴風に煽られているので、しゃがまないと撮影がまともにできません。

振り返ると、硫黄岳の特徴的な山容が夜明けとともに現れました。雪が降っても強風で吹っ飛ぶので、ところどころ山肌が見えています。硫黄岳山頂は広いので、真っ暗なうちは方角を誤ってしまう可能性もあり、注意が必要!

硫黄岳山荘までの稜線は特に風が強く、常に西からの暴風に吹きさらされます。硫黄岳山荘から台座ノ頭を見ると、たおやかな山容に胸が熱くなります。

あまり休憩が長いと体がキンキンに冷えてしまうので、10分くらいでエネルギー補給を済ませ、目の前に見える台座ノ頭と、それを超えた先に見える横岳・赤岳を目指します。

台座ノ頭の稜線に遮られていますが、日が昇ったようです。

直に日の光があたらないと、行動していても暖かさを感じません。

台座ノ頭を登り切りました。すでに日はあの高さまで昇っています。相変わらず暴風ですが、暖かさを全身で感じます。

太陽は偉大です。

そして、ついに見えました!これから向かう素晴らしい稜線。その後ろには南アルプスもちらっと見えます。

常に暴風でアップアップでしたが、これを見たら気合いが漲り、一刻も早く進みたい!と気持ちが変わりました。

中央アルプスと、ずいぶん遠くに御嶽山、下は茅野市。そっちの方向から常に暴風が吹くので道中ぜんぜん西側に目を向けることができませんでしたが、これだけの美景が見れるのなら、ちょっとぐらい夜明け前に見るべきでした。

逸る気持ちのままに前に進んでいくと、横岳へ続く道と、圧倒的な存在感を誇る富士山が目の前に!

山を見るだけで元気になるって面白いですね。

最も集中する必要がある横岳。もし鎖が雪で埋まっていた場合、難易度は桁違いに上がります。

途中トラバースから上に登る箇所があるので、前ばかり見るのは危険。ですが、雪はかなり締まっていてアイゼンがしっかり効きます。登り切った先に奥ノ院(横岳山頂)が待ち受けている事への期待を胸に、1歩1歩集中して登ります。全体を通してこの区間が最も難易度が高いですが、慎重すぎるくらい1歩1歩確認しながら落ち着いて登れば大丈夫です。逆にここを赤岳方面から来て下る時はマジで怖いと思います。

午前7時58分、赤岳鉱泉から4時間くらいの時間で横岳奥ノ院(2,829m)登頂。横岳山頂で1人すれ違いました。

緊張の足場を超えて、すぐに山頂につくのでちょうどいい休憩ポイントになります。8時を回ると、あれだけ吹いていた風も少しマシになってきました。

硫黄岳を振り返ると、広角レンズで撮ってこのスケール感。圧倒的迫力ですね。

奥には北八ヶ岳、諏訪富士ともいわれる蓼科山が存在感を放っています。

暑さを感じるようになったのでゴーグルを外し、バラクラバをあごまで下ろして進んでいきます。

ここまでくると、赤岳だけではなく阿弥陀岳、権現岳、ちょこっと編笠山も見えます。

澄徹した空に南アルプスの雄姿も映えます。こうやって見ると、赤岳からの下山ルートがとんでもない急斜面に見えて身が震えます。実際地蔵尾根は斜度がきついですが、今回は文三郎尾根から下山します。

奥ノ院を超え、三叉峰までやや早めのペースで踏破。看板の向こうに杣添尾根が見えます。

この付近から、西側より雲がなだれ込んだことで若干道が分かりづらくなります。この時点で、赤岳方面から3人とすれ違いました。

地蔵ノ頭までの下りは、強風の影響で岩場が露出している部分があり、アイゼンをひっかけてしまうことを避けるために慎重に下りました。うっすら赤岳展望荘が見えますが、常時雲が横から迫ってきています。ここから先、赤岳展望荘から赤岳山頂への最後の登りがきつい!キックステップを効かせながらゆっくり登りますが、1歩が重い・・・。

9時28分、赤岳鉱泉から硫黄岳・横岳を経由して実に5時間半で赤岳(2,899m)登頂。山頂は人気なので、看板撮影の列にならんで、次の方に撮影していただきました。看板が新しくなっていましたね。

赤岳山頂から権現岳方面。横岳から見たときは遠かったのに、南アルプスの南端があれだけ近くに見える!と感慨深い気持ちになりました。いつか八ヶ岳を蓼科山から編笠山まで、縦走してみたいです。もちろん無雪期に。

赤岳頂上山荘は7月中旬から営業しますが、これだけ山頂の近くに山荘があるのは本当にありがたいですね。

雲海が晴れて、野辺山方面が眼下に広がっています。どんなに想像力を発揮しても思い描けない景色が360度に広がっているので、出発時間を気に留めず、つい長居をしてしまいます。

山頂から行者小屋が見えます。山頂でゆっくりしたのち、30分で行者小屋まで降り、さらに20分で赤岳山荘まで戻りました。文三郎尾根の下りは、すでにたくさんのトレースがあり苦労はせず、風も穏やかになり名残惜しさがありつつも下山しました。

帰りは美濃戸口からバスで茅野駅、そして特急あずさで帰路へ。

今回はこの時期にしてはかなり好条件で登れたうえに、新しい魅力や知らない景色を見せてくれる、楽しい山行でした。

コースタイム

【1日目】

10:20 美濃戸口発

11:03 赤岳山荘

13:05 赤岳鉱泉着

【2日目】

4:00  赤岳鉱泉発

5:40  赤岩ノ頭

6:06  硫黄岳山頂

7:30  台座ノ頭

7:58  横岳山頂(奥ノ院)

8:10  横岳(三叉峰)

8:18  石尊峰

8:44  地蔵ノ頭

8:50  赤岳展望荘

9:28  赤岳山頂

9:54  赤岳山頂発

10:25 行者小屋

10:44 赤岳鉱泉

12:05 赤岳鉱泉発

13:15 赤岳山荘

14:05 美濃戸山荘着

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