今回は、登山者の憧れヒマラヤの、ゴーキョ・ピークを目指す9日間の山旅です!
ネパールのカトマンズからルクラまで飛行機で向かい、そこからガイドさんと一緒にゴーキョ・ピークまで6日間、帰りも含めて9日間の山行となります。
ゴーキョ・ピークの標高は5,357メートル、私としてもモンブランの4,807メートルを超えて、初めての5,000メートル超えとなるので、高山病には最大限気を付けて安全にカトマンズまで戻ることに全集中を注ぎます。
ヒマラヤの絶景に興味がある方、ネパールに行ってトレッキングを楽しみたい方、自然が好きな方のお役に立てたら幸いです!
カトマンズから飛行機でルクラへ
11月16日の朝6時10分、カトマンズのトリブバン国際空港の国内線ターミナルに向かいます。
国際線ターミナルの北側に国内線ターミナルが位置しており、ほとんどの方がタクシーや車でここまで来ています。
向こうの入り口で、荷物検査があります。とくに厳しく見られるわけではなく、荷物をかごに乗せてセキュリティチェックを受けると共に、両手を広げて変なモノがないかをチェックされます。危険物さえ持っていなければ問題ないです。
空港の中はこんな感じで、国際線で良く見るチェックインカウンターと比較すると小ぢんまりとしています。
やはりポカラ行きが多いですね。目の前のカウンターは多くがポカラ行きです。
待合室に入る手前で、手荷物検査があります。ただ、係員はスマホを見ていてあまり荷物を見ていなかったり、席を外していたりと、大雑把な印象があります。
待合室は、豊富にベンチが用意されています。
出発まで時間があるので、ここで待ちます。なお、ウォーターサーバーがあるので喉が渇いても安心です。
8時半出発予定でしたが、1時間遅れの9時半に飛行機へ乗り込みます。
ネパールでは、わりと1時間遅れで出発することは普通にあるうえ、何なら終日飛ばないこともあり得るようなので、ガチガチに予定を組むことは避けるべきです。
エベレスト街道のトレッキングは10月~11月が一番晴れやすくいい季節ですが、10月に5日間連続で濃霧により飛べなかったそうなので、この辺りは運に身を任せるしかありません。
機内はこんな感じで、私が乗った飛行機は座席数が14です。
そして、カトマンズからルクラ行きの機内で良い景色が見たいなら左側に座りましょう。どこに座ってもいいシステムです。
離陸して10分ほどで、ヒマラヤ山脈が見えてきました。乗ってから感じましたが、綺麗な景色を求めているなら、座席は最前列に近いほうがいいですね。
真ん中あたりに座ると、高速で動くプロペラが常に視界に入ってきます。
30分ほどでルクラに到着しました。すでに素晴らしい風景が見えますが、いそいそと荷物の受け取りに向かいます。
荷物は建物に入ってすぐ、ここにドサドサ積まれていきます。
あまり長居する場所ではないので、自分の荷物を受け取ったら出口に向かいましょう。
ここからが楽しい楽しい山行のスタートです。
ルクラからパクディンまでの道
出口を出たら、階段を登ってルクラの街へ向かいます。
目の前を歩くオレンジのザックカバーをした方は、今回非常にお世話になったガイドのグルジェンさんです。
ルクラの街を進んでいきます。特にステッカーやキーホルダーなどはエベレストに関するお土産が多く、カトマンズよりもお土産は探しやすいです。
動物はかなりの頻度で出会います。ウマや牛、イヌやネコなどあらゆる動物が道を進んでいます。
ヤクはこの辺では会うことはなく、もっと高地で荷物を運んでいます。
少し下ると、特徴的なゲートがあります。
ネパール人の女性で初めてエベレストに登頂したパサン・ラムさんの名を冠した「Pasang Lhamu Gate」です。
ゲートの先に、観光客が先に進むための手続きをする事務所があります。
エベレスト街道の通行許可証もここで発行されます。今回、ガイドさんが全てやってくださいましたが、個人で手続きをする場合は現金(USドルかネパールルピー)とパスポートは必携です。
ルクラからしばらくは下りの道となります。ルクラがだいたい2,840メートルの標高なのに対し、この先のガートという箇所では2,490メートルほどまで標高を下げます。
ルクラから出発して1時間ほどの、ガート付近でお昼にします。この辺はお店がたくさんあるので、あまり満席になることはない印象でした。それにしてもロケーションが抜群で、こんな景色を見ながら休めるので、本当に安らぎの空間です。
食べ物について、ネパールではダルバートが主流です。
味はかなり美味しく、口に合わないことはありませんでした。なお、ライスとスープは無くなりそうになると、次々とおかわりを皿に入れてくるので、お腹いっぱいの場合は「プギョ」と言って、お腹いっぱいである意思を伝えましょう。
あの谷の向こうに、ここ一帯で最大の街、ナムチェがあります。
まずはこの日の目的地であるパクディンへ向かいますが、それですらまだここからは見えません。
道を歩いていると、かなりの頻度ですれ違うのが、このゾッキョと呼ばれる動物。
ヤクと牛の混合種で、トレッキングする人と同じくらいか、少し早いスピードで通っていきます。
パクディンはもうすぐです。高い山は午後になると雲がかかりがちですが、11月のこの時期はかなりトレッキングに適していて、雨が降る気がしません。
また、ガートを境にだんだん登りになってきて、パクディンでは2,610メートルほどまで標高を稼ぎます。
パクディンの宿です。ひとりでこの環境を堪能できるのは、割と贅沢です。
ここは、お手洗いは共用ではなく専用で、Wi-fiとシャワー用お湯は有料です。一方、夜は思ったよりも冷えるのでダウンを着て寝ます。
この日はパクディンまでの道でしたが、想像以上に下ります。逆に言えば、体力を温存してここまでこれたので、明日のナムチェまでの道に対する不安は一切ありませんでした。
ナムチェまでの道
午前7時、パクディンからのスタートです。
朝は空気が澄み切っていて、上を見上げると蒼海のような綺麗な空が広がっています。
「WAY TO NAMCHE」の看板に、イヌが乗っています。
イヌはこのエベレスト街道では結構な頻度で会います。人間についてくることもあるので、非常に愛嬌があって構いたくなりますが、むやみに触らないようにしましょう。
どうしても狂犬病の心配は拭えません。
あの崖は普通の崖かと思いきや、ハチミツが採れるそうです。
この山域のハチミツは勝手に採ると犯罪になってしまうので、見るだけです。
そして、ナムチェまでの道で何度も通ることになる鉄の橋です。このタイプの橋がこの先何か所もあります。
人が通るたびに割と揺れるうえ、幅の広さ的に立錐の余地もありません。
対岸から動物が通ってくる場合、動物が橋を渡り切るまで人間は進んではいけないルールとなっています。
朝のうちは冷えますが、8時くらいになって日差しを浴びるようになると、かなり温かく感じます。
そうなると、アンダーシャツのうえにミドルウェアを2枚着るくらいが丁度いい具合になるので、着脱しやすい服装はマストですね。
ナムチェまでの道では、左側の石垣のように休憩できそうなポイントが多いので、遠慮せず休憩しながらゆっくり向かいましょう。
パクディンからの道は、ほとんどが登りです。
階段の登りも多いですが、傾斜はそれほどきつくないです。ストックがあるとかなり楽になるので、カトマンズでレンタルしてでも、ストックは有ったほうがいいです。
パクディンから歩いて1時間半ほど、「Sagarmatha National Park Jorsalle Entrance Gate」というところです。
ここでは、ネパールの軍服を着た方が荷物をチェックしに来ます。この山域はドローンの持ち込みが禁止されているので、それのチェックです。
軍服の方にザックを見せろと言われ、ミラーレスカメラのケースを引っ張り出して「What is this…?」とキレ気味に聞いてきましたが、正しく真摯に応答すれば、「OK」と言って先に通してくれます。
なお、通行許可証も必要なので準備しておきましょう。
どんどん先に進んでいきます。この鉄の橋も何度か通過してきましたが、先に進めば進むほど、高所に橋が架かっています。
橋の上では携帯やカメラを落とす可能性があるうえ、だいぶ揺れるので渡り終えてから、もしくは渡る前に撮影するのが賢明です。
ナムチェが近づくにつれ、登りの斜度もちょっとずつきつくなっていきます。
道を歩いていると、かなりの頻度で動物のフンが落ちているので、気を付けずに歩いているとナムチェまでの間で最低でも20回はフンを踏んでしまうと思います。
その影響もあってか、良く言えば肥沃な道となっており、人によってはその影響で咳が止まらなくなってしまうこともあるので、息苦しくならない程度にマスクをつけるなど、何とかして対策していきたいですね。
ナムチェが近づいてきました。このポイントはナムチェまでの道で、エベレストが見えるポイントとなっていますが、この時期は木々が生い茂っているため、ほとんどその姿が見えません。
標高は3,000メートルを超えていますが、マツをはじめとした植生が日本と似ていて、何となく懐かしさを感じます。
ナムチェの手前で、チェックポイントがあります。ガイドさんがやってくれていますが、ナムチェに入るチェックインをしている、とのことです。
一応、交番としての役割も担っているようですが、中にいるスタッフの方は、割とめんどくさそうな態度で手続きをしています。
ナムチェ到着
さあ、ナムチェが近づいてきました。
パクディンからゆっくり歩いて6時間くらいで到着です。ひたすら登りつめた先に見えた地なので、安堵感とワクワク感が同時に押し寄せてきました。
ナムチェでは飲食店やホテル、ロッジをはじめとした建物が綺麗に並んでいます。
高度順応のために、ここで1日滞在するトレッカーも多く、それでも飽きないような規模の村です。
そして、メインストリートでは土産物屋や、トレッキング・登山に必要な道具を売っている店、マッサージ店や書店まで、あらゆるジャンルの店が所狭しと並んでいます。
今回歯磨き粉を切らしてしまったのでここで購入しましたが、多くの生活用品もこの場所で手に入れる事が可能です。
ナムチェの村を上から見たら、このような風景となります。
奥にコンデ峰(6,187メートル)が雄々しく聳え立っており、ヒマラヤらしい壮大な景色が広がっています。
まさに山岳民族の村、多くのトレッカーが夢見てきた地に立っていることの幸せを噛みしめ、この日はここで一泊します。
安全にこの先に進む場合、ここで一泊して高度順応するのが定番です。今回はここで高度順応せずに4,000メートル以上の地へ、そして初めての5,000メートルの地へ足を踏み入れることになります。
現状とくに体調に問題はないものの、念のためダイアモックスを半錠だけ服用し、休みます。ナムチェの街は、帰りに健康な状態で戻ってきたときに楽しみたいと思います。
ルクラからナムチェまで、起伏にとんだ道を歩いてきましたが、日本とは全く違うところ、日本と少し似ているところ、全てが好奇心に変わって冒険心がどんどん膨らんでいく素晴らしい道を歩いてきました。
更なる景色と自分の限界を引き上げる楽しみを携え、次回は標高4,400メートルのマッチェルモまで進んでいきます。