2026年になり、最初に登る舞台として選ばれたのは、八ヶ岳の端部に位置する「北横岳」です。
北横岳は夏山でも冬山でも、初心者向けの山としてネットや登山雑誌などで紹介されています。
しかし、数年前に登った冬の赤岳などで八ヶ岳の強風の脅威は十分に実感しており、いくら初心者向けの山といえど天候次第では危険にさらされることも覚悟する必要があります。
それでも、ロープウェイを使って比較的気軽に登れる山です。
北横岳は夏山を含めてまだ登ったことがないので、
どんな風景がみられるのだろう!
とワクワクしながら、2,480mの頂を目指します。
登山データ
| 活動時期 | 2026年1月7日(1Day) |
| 時間 | 2時間45分 |
| 歩行距離 | 3.5km |
| 累積標高 | 274m |
| コース定数 | 7 |
ロープウェイで坪庭へ

10時30分に、北横岳ロープウェイの山麓駅です。
温かみのある建物のデザインで、時間があれば室内でゆっくりしたいと思うほど素敵な雰囲気です。

ロープウェイはだいたい20分間隔で運行しており、100人くらい乗れるキャパがあります。
この日は平日真っ只中ということもあり、スペースにかなり余裕がありました。

曇りが優勢ですが、遠景に中央アルプスが見え始めると一気に興奮してきました。
その手前には入笠山などもあるのですが、高度が高くなるにつれて、右奥に御嶽山の姿が現れたことで視線がそっちに釘付けになりました。

ロープウェイは7分間の空中散歩を経て、2,237メートルに着きました。
この建物を出たら、坪庭です。
外に向かう人は、皆冬山装備を身に纏っています。

11時14分、ここが坪庭です。
ここは夏であれば高山植物を楽しめる散策路で、溶岩台地です。
季節によって見られる景色が大きく変わるので、季節を変えて何度でも楽しめる場所となっています。
アイゼンの着脱はここで行います。
今回は12本爪アイゼンと軽アイゼンのどちらかで迷いましたが、軽アイゼンを持参してきました。
冬の自然散策路

11時35分、北横岳に向けてスタートします。
空模様は、少しずつ青空が顔を覗かせるようになってきました。

今回同行してくれたのは、前年に雲ノ平・鷲羽岳に挑んだ、思い出の仲間たちです。
あの時は心を奮い立たせて登り、かなり頑張った登山となりました。
今回は雪山初心者でも楽しめる北横岳ということもあり、幾分気持ちが楽です。
それでも、今は厳冬期であること、そして標高が2,000メートルを超えた立派な雪山であることを忘れてはなりません。

雪質はある程度締まっており、アイゼンの爪はしっかり刺さります。
この段階では風もそこまで強くないので、周りの光景を楽しみながら登れています。

振り返ると、ロープウェイ乗り場と、その奥に茅野の街並みが一望できます。
さらにその奥には、中央アルプスの峰々が壁のように聳え立っており、堂々たる佇まいに目を奪われました。

さあ、のんびり前に進んでいきます。
ここはそれほど傾斜もなく、道もロープが張られているので比較的明瞭です。

11時48分、第二休憩所という場所です。
あっちは縞枯山方面です。
数分前に第一休憩所がありましたが、出発してすぐの場所にあったので、あまり長く留まりませんでした。
休憩所にはベンチがありますが、当然雪をかぶっています。
座る場合はヒップマットなどがあるといいですね。

11時52分、ここからは散策路を離れて登山道に入ります。
この先は明瞭な道から、森林へ向かうことになります。
まずは、森林の中にある北横岳ヒュッテまで向かい、そこから一気に登頂へ向かいます。
北横岳ヒュッテまでの道

進路を北に変え、目の前の森林へ入っていきます。
白く薄化粧した山肌を前に、奥にある頂に早く向かいたい意欲が湧きたちます。

ここからは標高を一気に上げていきます。
急登ではないものの、見える景色が次々と変化する楽しい道です。

登っていくと、視界が開ける場所が現れます。
縞枯山の奥に、小さく南八ヶ岳の鋭鋒があります。
さらに、距離こそ離れていますが巍巍たる南アルプスの峰々が見えたとき、もう4~5年も行っていない南アルプスの懐かしい思い出が蘇ってきました。

さらに進むと、更に白い世界に変わってきました。
周りの木々もたっぷり雪を蓄えています。
樹林帯は、先ほどの登山道の看板から20分くらい上がったところで、平坦な道に変わりました。

12時35分、北横岳ヒュッテに到着です。
だいたい20人ほど収容できますが、宿泊予約がない日は営業しておりません。
小屋の前にはテーブルやベンチがあるので、ここでしっかり休憩します。
爆風の稜線

40分弱ほど休憩し、頂上へ向けて出発します。
帰りの茅野駅行きのバスが14:55発の1本しかないので、ちょっとだけ足早に進みます。

北横岳ヒュッテを出発してすぐに直登があります。
その先に、どう見ても稜線にしか見えない空間が見えてきました。
あそこから見える絶景を期待したのですが、色々と想像を越える空間となっていました。

さっきの坂を登り終えると、そこに広がっていたのは最高の絶景でした。
まずは赤岳を主峰とする南八ヶ岳の面々です。
夏沢峠を境に、今我々が立っているところは北八ヶ岳、そして向こうにあるのが南八ヶ岳。
何となく優しい雰囲気の北八ヶ岳とは違い、向こうの南八ヶ岳は荘厳で、アルペン的な雰囲気を感じます。

13時27分、稜線に出てすぐに北横岳の南峰に着きました。
看板には、同じ方向から飛ばされた雪が凍り付いて出来る「エビの尻尾」が、びっしりと付いています。
この自然現象が示す通り、稜線上はかなり風が強く吹き抜けており、止むことがありません。
ちょっとでもグローブを外そうものなら、容赦ない風に吹きさらされ、指の感覚がすぐになくなります。

そこにある丸い山は、蓼科山です。
そして、奥に見えるのは北アルプスの大パノラマです。
この場所からでも、北アルプスが凍てついた極限の環境であることは想像に難くありません。
穏やかそうに見えても、こことは比較にならない程の暴風が永遠と吹き荒んでいる筈です。

13時35分、北横岳の北峰に着きました。
南峰と北峰の間は短く、ちょっと歩けば標高2,480メートルの頂です。
南峰よりもちょっとだけ標高が高いこともあり、北横岳登山においてセットで登られることが多いです。

さっきよりも蓼科山の存在感がより顕著になり、北アルプスの雪の付き方の違いに気付けるようになりました。
北アルプスの北部はほんとうに真っ白で、より過酷な印象を植え付けます。

視点を北東に移すと、佐久方面も明瞭に見えます。
この山頂からは北・中央・南アルプスを全て眺めることができるので忘れがちですが、信州方面の山も素晴らしいです。
浅間山や四阿山が一際目立っています。
山頂からのスピード下山

バスの時間も気になるので、景色を堪能した後に早く下山します。
北横岳南峰から樹林帯に降りるところは、チェーンスパイクでは不安な坂道です。
軽アイゼンか12本爪のアイゼンが安心です。

この時点で14時です。
ロープウェイの時間次第では、バスに間に合わない可能性があるため、可能な限り急いで乗り場へ向かいます。
奥に見える甲斐駒ヶ岳などの名峰を眺めていたいですが、バスを逃すとタクシーしか手段はありません。
写真だけ収めて、下山に集中します。

山頂を出発してから30分くらいで、自然散策路に合流します。
ここまで降りると、風はほとんどなく歩きやすいです。

ロープウェイ乗り場はもうすぐそこです。
下りは本当に一瞬で、山頂からは40分くらいで降りてこられました。

14時40分のロープウェイに乗り、55分発のバスには間に合いました。
これにて冬の北横岳登山完遂です。
気軽に登れる山として人気の北横岳。これまで挑戦してきた雪山と比較すると、確かに易しめの難易度です。
そんな中印象に残ったのは、稜線に出た瞬間の肌を刺すような爆風でした。
登山自体は難しくないものの、気候は全然易しくありません。
風速はおそらく最大15メートル無いくらいでしたが、これ以上風が強かったら厳しかったと思います。
そんな環境でも、赤岳や蓼科山等同じ八ヶ岳の展望をはじめ、日本アルプスすべてを見渡せる最高の遠望は圧巻でした。
北横岳登山でなくても、自然散策路を歩くだけでも開放的な眺めを楽しめる素晴らしい山域です。
難しい山や厳しい環境に挑戦するのも登山の醍醐味です。
しかし、これまで色々な山に登った経験を経て北横岳に登ったことで、過去に登頂した山の思い出が鮮やかに蘇ってきました。
またひとつ、山の新しい楽しみ方を見つけられたように感じます。
今回も誘ってくれた、素敵な仲間に感謝したいと思います。
1月7日
10:30 北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅
11:14 坪庭着
11:35 坪庭発
11:52 北横岳登山口
12:35 北横岳ヒュッテ
13:27 北横岳(南峰)
13:35 北横岳(北峰)
13:47 北横岳ヒュッテ
14:16 北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅着
