【日帰り登山】笹子駅から本社ヶ丸・三ッ峠登山で山梨百名山巡り

来週にも梅雨に差し掛かろうかというこの時期、あまり遠出せずに絶景を見れるポイントを求めて、本社ヶ丸から三ッ峠を縦走し、富士急三ッ峠駅まで16.3キロの旅路となりました。晴れの日の土曜日は、塔ノ岳などの丹沢山塊や八ヶ岳方面は混み合いがちです。一方で笹子駅から本社ヶ丸は、比較的静かな山歩きが楽しめますし、本社ヶ丸から三ッ峠では富士山が段々大きく見える高揚感を味わえます。そして、大人気の三ッ峠のパノラマも外せません。ややロングルートとなりましたが、新たな絶景に出会えるルートでした。

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登山データ

活動時期時間歩行距離累積標高コース定数
2023年5月27日(1Day)7時間40分16.3km1,723m40

笹子駅~本社ヶ丸へ

7時6分、中央本線笹子駅からスタート。そこそこ降りる人がいますが、トイレが非常に混みます。可能であれば中央本線車内にはトイレが備え付けてありますので、そこで済ますと良いでしょう。本社ヶ丸へ向かう際にトイレはありません。

駅前に案内板があります。笹子駅からは滝子山へ向かう方が多く、案内板の先(本社ヶ丸方面)へ向かう方は1割いるかどうか、という程度でした。

中央本線の線路を右に見ながら歩いていると、本社ヶ丸・鶴ヶ鳥屋山を示す看板があります。いつものことですが、登山道に入る瞬間が、自然の領域へ足を踏み入れる感覚があるので、一層覚悟が決まります。

序盤はこういった樹林帯で、若干道が分かりづらい箇所もあります。もし濃霧や雨天の場合、注視して進まないと道迷いに陥りやすい危険があり、事前に地図はしっかり頭に入れておく必要があります。先ほどの看板から、暫く南に道が続いています。

樹林帯を進んでいくと、40分ほどで庭洞山にわほらやまという1つのピークに到着します。標高はちょうど1,000メートルですが、ほとんど眺望はありません。

庭洞山からほとんど標高を上げずに、林道に出ます。林道が見えたら少し東(進行方向左方面)に進むと、写真のような看板があります。なかなかの急登が続いていますが、まだ前座の段階と言わんばかりに更なる急登が待っています。

樹林帯では景色がほとんど見えないため、そろそろ眺望が見たいな・・・と思った矢先に、いかにも絶景が待っているようなポイントが見えます。こういうのを見ると、息をつかずに足が勝手に進んでしまいます。

北東方面、木々の間から眺望があります。樹林帯もいいですが、やっぱり下が見えると「これだけ登ってきたんだ」という感覚が感じられて安心しますね。

西方向も開けています。澄んでいれば僅かに雪のかぶった南アルプスの山が少しだけ見えます。

遠くの山を見ていると、一座一座がほんとうに巨大なので、遠近感が分からなくなります。

9時28分、角研山つのとぎやまに到着。木々に遮られているので眺望はありません。ここまで笹子から南に向かってきていましたが、角研山を境に西へ進みます。

ちなみに東方向に進むと、鶴ヶ鳥屋山へ行けます。

笹子駅を示す札だけめちゃめちゃ綺麗です。一度壊れて新たに付けられた感じですね。

この辺りはハエなどの虫がよく飛び回っていましたが、この先ずっといるのでそのうち気にならなくなります。それでもハッカ油などで対策したほうがいいですね。

あと、この登山道の特徴として鉄塔が聳え立っていることが挙げられます。

丸天井に映える鉄塔は、大自然の中でも圧倒的な存在感があります。

先ほどの鉄塔のように開けた場所も数か所ありますが、基本的に本社ヶ丸までの道は、緑に満ちた樹林帯が中心です。

日が高くなると、木漏れ日と日光を浴びる葉が光って本当に綺麗です。

暫く進むと、いかにも山頂っぽい雰囲気の空間が見えます。

これを見せられたら絶対期待してしまいますね。長い樹林帯を越えて、最もテンションの上がる瞬間と言っても過言ではありません。

9時50分、本社ヶ丸ほんじゃがまる登頂。秀麗富嶽十二景の十二番目です。

看板の左下のQRコードに「登頂おめでとうございます!」「見てみてね!」と書いてあります。読み込むと特別画像が見れるようです。あろうことか読み込みを忘れてしまいました。次また来た時の楽しみですね。

富士山を眺めるには絶好のスポットです。もちろん富士山も素晴らしいですが、手前のミツバツツジが景色を彩っていて癒されます。たぶん7合目付近にかかっている雲上は、まだ雪をかぶっています。

これから向かう三ッ峠もはっきり見えます。

本社ヶ丸の山頂はそれほど広くなく、せいぜい15人ほどで一杯になる程のスペースでしたが、私ともう1名ソロの方しかいませんでした。しばらく本社ヶ丸で休憩。

本社ヶ丸から三ッ峠まで

本社ヶ丸で休憩後、10時に三ッ峠へ向けて出発。分かりづらいですが、山頂から西方向に道があります。

下りてすぐに岩場があります。ロープは一応ありますが、三点支持で問題なく通過できます。

雨だったときにちょっと大変ですね。この辺りの岩場はただでさえ滑りやすいので注意。

こんな景色を見ながら標高を落とします。この辺はゴツい岩が多く、景色に気をとられていると結構危ないですね。

三ッ峠に続く道が見えます。薄雲で富士山がどんどん白くなってきましたが、久々の登山ということもあり、目と脳の保養には十分です。右に岩がありますが、ここを通るわけではなく、どんどん標高を下げます。

ある程度岩場が続いた先に、また樹林帯が待ち受けています。ただ、先ほどまでの樹林帯よりも眺望には恵まれていて、随所で足を止めてしまうような光景を楽しみながら登山を続けます。

本社ヶ丸を出発してからだいたい20分くらいで清八峠に着きました。笹子から来たので大月市かと思ったら、都留市なんですね。

この季節らしい春霞と、ほうきで払ったような薄雲でぼんやりしていますが、南アルプスの峰々も確認できます。

奥の景色がもやもやしているからこそ、手前に見える緑が一層美しさを引き立てています。

どんどん進んでいきます。あそこの崖が豪快に崩れていますね。

登山道は、全体的に急登となだらかな地点のバランスがよく、ペース配分さえ無理をしなければ歩きやすいです。

ただし、ロングルートなので忍耐力は必須。

茶臼山をちょっと過ぎたあたりですが、正直ピークがどこか分かりませんでした。

涼しい風が吹き抜け、葉がこすれる音がめちゃめちゃ気持ちいいので、五感の中でも聴覚に集中してしまいます。

倒れそうな木がありますが、なぜこんな状態になったのかが気になりました。動物説、伐採説、落雷説など色々考えられましたが、考えているうちに体力が回復できたので先に進みます。

三ッ峠も近づいてきましたが、山頂直下が急登であることが多いですね。このロープが出てきてからは御巣鷹山まで急登です。ロープは使わなくても登れますが、下りの場合は慎重すぎるほどで十分です。こういう場面で岩に小石が乗っていて滑った経験は枚挙にいとまがないです。

ロープ岩地帯を越えても急登は続きます。足元に岩がゴロゴロ転がっているので、岩を踏んで落石を起こしてしまわぬように一歩の幅を狭くして冷静に進みます。

さっきまでは余裕があったのに、あのロープが出てきて以降の登りには閉口しました。

三ッ峠には確実に近づいているのに、それが全然確認できないので「いつまで続くんだ・・・」と不安になります。

急登を越えると、急に御巣鷹山おすたかやま付近の通信施設に出ます。ここまで来れば、本当にあと一息で三ッ峠です。

さあ三ッ峠山頂は目と鼻の先。さっきまでの急登を経験したので、天国のような道です。

ここまで全然人とすれ違わなかったのですが、少しずつにぎやかな声が聞こえてきました。

12時5分、三ッ峠山(開運山)に登頂。日本二百名山・山梨百名山のうちの一座で、富士山が見える山として非常に人気の山です。この日も山頂は大変にぎわっており、お昼時ということもあって30名くらいの方が休憩していました。

富士山は雲に隠れて、完全に山頂は見えなくなりました。それでも午前中に素晴らしい景色を届けてくれたこと、眼下の眺望の素晴らしさに気付かせてくれたことに感謝。

「あの高さからこれだけ登ってきたんだ」という感覚と、「これからあそこまで下るのか・・・」という感覚が一気に押し寄せてきます。それでも、この展望を見れば憂鬱な気分など一気に吹っ飛びます。

ちょっと下に三ッ峠山荘と広場があります。もちろん山頂からの絶景も魅力ですが、あそこからは屏風岩と、それに挑むクライマーを見ることができます。

山頂から三ッ峠山荘へ向かう途中の階段ですが、思いのほか石で滑りやすいです。登ってくる方が多いため、道を譲るために少し階段を外れた際も普通に滑ります。

三ッ峠山荘に到着。テーブルは山荘前に6台くらいあります。基本的に山荘で購入した食事を済ませる場所で、利用料100円を支払う箱があります。持参した食べ物や、ちょっとした小休止の場合は、この先にある木無山方面の展望スポットに向かうと、いくつかベンチがあるので、そっちに向かってみてください。

達磨石を経て三つ峠駅へ下山

三ッ峠山荘から、この看板をたどって下山します。標準タイムで、三つ峠駅まで2時間40分ほどと、タフなコースです。

クライマーに人気の屏風岩。登山者は、真下からクライマーを見ることができます。これだけ迫力のある岩壁にチームで声を掛け合いながら挑んでいく姿がめちゃめちゃかっこいいです。

登山者はクライムポイントのすぐそばを通過します。若い方や女性の方、そしていかにも上級者っぽいベテランクライマーまで、いろんな人が挑んでいます。

落石が起きないとも限らないので、ヘルメットを装着していない登山者は少し離れて通過する方がいいですね。

屏風岩を越えると、ガレたポイントがあります。地面はしっかりしているので特段歩きづらくはないです。

柵はつかまないように。

ある程度下ると、馬返しに着きます。確かに、ここまでの下りは急坂だったので馬では登れそうにないですね。

この先は、ちょっとだけ緩やかな坂になったな、という印象です。

馬返しを過ぎた後の道は、大体このぐらいの斜度なので非常にペース良く降りられます。

三ッ峠は海外の方にも人気なようで、この下山道だけで10名以上の海外ハイカーとすれ違いました。

標高940メートル付近に、達磨石があります。その名の通りダルマのような石ですが、意外とサイズがでかいです。

2,3個ベンチが置いてあるので、ちょうどいい休憩ポイントです。

達磨石を過ぎると、舗装された道に出ます。とりあえずここに出れば一安心、迷うことはないです。

登山口駐車場の横に、お手洗いがありますが、岩をかたどった面白いつくりとなっています。

用がなくても寄ってみたくなりますね。

ちなみに多目的トイレではない普通のトイレは、岩の裏側にあります。

正直お世辞にも綺麗とはいえないですが、水は流れます。(というより男子トイレは流れっぱなしになってました。)

山道と市街地の境目です。これを見ると一気に日常に帰ってきた感覚になります。

あとは三つ峠駅まで市街地を歩いて向かいます。

14時50分、三つ峠駅に到着しました。富士急行線はだいたい1時間に1本で、この時間は大月行きの電車がちょうど行ってしまったので、1時間ほど待って帰りました。ちなみに三つ峠駅のお手洗いは、さっきの岩のトイレより100倍綺麗です。

アクセスが抜群によく、クセのない登山道だったので非常によかったです。16.3キロと、ややロングルートとなっており、そのぶんボリュームたっぷりの登山を楽しめます。静かな山登りを楽しみたい場合は本社ヶ丸、登山道の名所を楽しみながら登りたいのなら三ッ峠、そして富士山をダイナミックに楽しみたいなら、この縦走ルートをお勧めしたいです。

コースタイム

7:06 笹子駅発

8:03 庭洞山

8:56 角研山

9:50 本社ヶ丸着

10:00 本社ヶ丸発

10:18 清八峠

11:02 茶臼山

11:50 御巣鷹山

12:05 三ッ峠山(開運山)着

12:35 三ッ峠山(開運山)発

12:52 屛風岩

14:00 達磨石

14:50 三つ峠駅

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