【鳥海山】真夏の鳥海山登山! 山形県の最高峰から望む最高の絶景

前回、久しぶりに帰ってきた故郷で心を動かすような風景を堪能させていただきました。

色々な思い出が詰まった大事な故郷を、最高に美しい光景で眺めることができて本当に感動しましたが、今回のメインは山形県の最高峰”鳥海山”です。

出羽の地に聳える秀麗な姿は、その佇まいから”出羽富士”と呼称されています。

山形県と秋田県の県境に位置し多数のルートから登れる山、今回は象潟口ルートを選択しました。

ちょうど登山日の2日前に東北地方の梅雨明けが発表され、連日の快晴予報。

晴れにくい日本海側の山ですが、蔵王から登山口に移動している最中も眩しすぎるくらいの日差しが降り注ぎ、期待が更に高まります。

更なる感動と絶景を求めて、鳥海山の麓、秋田県の象潟町に入ります。

目次

登山データ

活動時期2026年8月6日(1Day)
時間10時間12分
歩行距離15.5km
累積標高1389m
コース定数34

鉾立山荘と静かな夕暮れ

8月5日の16時28分、秋田県にかほ市の象潟町にある鳥海エコーラインの駐車場です。

駐車場は広く、結構な台数が停められます。星空観察や、海を眺めるのにも絶好のロケーションとなっています。

目の前にある木造の建物が、今回お世話になる鉾立山荘です。

鉾立山荘は、宿泊料2,200円で、有料で炊事場やシャワー等が利用できる、かなり至れり尽くせりの環境を備えた温かい山荘です。

予約は電話のみとなっております。

私たちは炊事場を使わせてもらい、事前にスーパーで購入した食材を皆で調理して食べました。

夕暮れ時、綺麗な海岸線と穏やかな日本海が見えます。

この美しい景色を見れただけでも満足感が高く、仮に翌日が大嵐になったとしても良いと思えるほどの美景です。

夜は無数の星が瞬き、にかほ市の街並みが人工的な光を放っています。

この場所で既に標高1,150メートルあり、空気の澄んだ高所からの夜景と星空は、前年に登った富士山での光景を思い出します。

海を背に往く登山道

午前4時、まだ薄暗い早朝です。

さすがにこんな早い時間に準備しているパーティーは少なく、小屋内は静まり返っていました。

こちらがスタート地点、ここから頂上までの長いルートが始まります。

いつだって、山行の始まりはワクワク感に満たされます。

登山口を出発してすぐ、鉾立展望台という場所があります。

何が見えるのでしょう・・・

ここは、日本海の方向を一望できる少し広い場所でした。

山肌に隠れた東側が、太陽の光で紅潮しています。

ゆっくり見ていきたいところですが、まだ始まったばかりで圧倒的に先が長いので、後ろ髪を引かれる思いで進みます。

序盤は、このように木道が整備されているため歩きやすいです。

加えて比較的緩やかな登りが続いており、ペースを一定に保ちやすいのも、序盤の特徴です。

時刻は4時30分、すでにヘッドライトが必要ないほどの明るさが訪れ、周囲の緑がより鮮明に映るようになりました。

薄く朝靄に包まれた静かな朝、新鮮な空気を可能な限り体にとりこもうと、深呼吸をします。

4時44分、ここが秋田県と山形県の県境。

ここからの道は、ずっと山形県です。

昨日の蔵王で、自分の故郷が山形で良かったと再確認できたので、ちょっと嬉しい気分です。

鳥海山を彩る多様な植物

山形県側に入り、後を振り返ると日本海が見えます。

空と海の境界が、太陽の力によって鮮やかなグラデーションを創っており、幻想的な雰囲気です。

ウゴアザミは、東北の日本海側によくみられる多年草です。漢字で書くと羽後薊。

この鳥海山で初めて見た花です。

見ごろが非常に短いニッコウキスゲです。

前年に行った尾瀬でも見ましたが、他の花と比べて圧倒的な存在感を放っています。

こちらはチョウカイアザミ。

名前の通り、鳥海山特有のアザミで、登山道脇によく見られました。

具合悪そうに頭を下げて、色もどこか不気味です。

しかし、この見た目と世界でここだけしか咲かない花ということも相まって、鳥海山で一番印象的な花でした。

5時19分、賽の河原という場所に着きました。

すでに1時間以上歩いていますが、全然疲労感はありません。

このような最高の自然に囲まれた環境で、ゆっくり標高を上げているので全然疲れが溜まらないのです。

こういう風景を求めて、この別天地まで来ました。

カルデラ湖を見下ろす理想郷

5時30分を過ぎ、山の斜面から太陽が昇ってきました。

賽の河原を過ぎると、やや急な斜面に差し掛かり一気に標高を上げます。

5時53分、御浜小屋に着きました。

ここの裏側に、休憩に最適なスペースがあります。

あれが、鳥海湖です。

こんな絶景が見たいな・・・

という想像を具現化した景色で、何時間でもここに座って眺めていたいです。

小休止を挟み、鳥海湖と奥に見える綺麗な遊佐町を眺めながら移動します。

なお、鳥海湖の後ろにある丸っこい山は「鍋森」と言って、火山活動によって出来た溶岩ドームだそうです。

なお、あれに登るには深い藪や急峻な地形により難易度が高いとのことですので、今回は見るだけです。

少し先の御田ヶ原分岐まで、少しだけ下ります。

ここから遠くに鳥海山の頂上が見えますが、まだまだ距離が遠いので普通なら参ってしまいます。

しかし、この幸せな環境を長く楽しめるポジティブな思考に支配されているため、モチベーションはかなり高いです。

6時46分、御田ヶ原分岐点です。

鳥海湖の近くを経由するルートとの分岐となります。

午前7時を回り、気温が高くなってきました。

風が殆ど無いため、ゆっくり歩いていても汗をたくさんかきます。

たまにこうして後ろを振り返って景色を眺めるのですが、そのたびに驚かされます。

思わず誰かに自慢したくなるような最高の景色が、カメラにはとても収まらないスケールで広がっています。

鮮やかな大自然の絨毯と、水天一碧の背景。

鳥海山の魅力を感じるのに、十分すぎる環境が整っています。

見どころ溢れる外輪巡り

7時14分、外輪山と千蛇谷の分岐点です。

前日の鉾立山荘で会ったおじさんに外輪山のコースをおすすめされたため、少し遠回りしてでも外輪山から回って山頂へ向かいます。

最初はこのように急登となっています。

道幅にもあまり余裕がなく、もし雨が降っていた場合の足場は最悪です。

手を使ってよじ登る程ではないものの、グローブがあると便利ですね。

外輪山コースは、分岐直後に一気に標高を上げるため、このように千蛇谷方面を見下ろす形になります。

まだ雪渓が残っており、地元の人によると、ああいった雪渓で熊が寝転がって涼んでいることがある、という話でした。

そして、ギザギザした鳥海山の頂上も確認できますが、まだ相当距離があるように見えます。

急登を登り切ると、稜線に出ました。

向かうべき外輪の山々が視界の先に確認できます。

ここからは、外輪のピークが連続します。

7時49分、まずは文殊岳に到着です。標高は2,005メートル。

看板は倒れちゃってます。

次なるピークへ向かいます。

道はハイマツが目立ち、ほぼ片側通行になっています。

8時14分、続いて伏拝岳(2,130m)に登頂しました。

ここは、湯ノ台口との合流地点になっています。

稜線上は、山形県側の光景が見事です。

遊佐町・酒田市方面を見ると庄内平野が一望できます。

山形が誇る特Aランク米「つや姫」や「雪若丸」は、庄内平野で盛んに作られています。

本当においしいお米なので、スーパーとかで見かけたらぜひ買ってみてほしいです。

更に外輪山を進むと、御室小屋と鳥海山の山頂が目と鼻の先まで近づいてきました。

今までは山が鮮やかな緑に覆われていましたが、あれを見ると鳥海山が歴とした火山であると思い知らされます。

七高山と、険峻なルート

外輪山の先には、七高山があります。

ここまで来たなら、およそ100メートル先の七高山の頂を見てから鳥海山の最高峰”新山”へ向かおうと思います。

8時56分、七高山の山頂に着きました。

標高は新山よりも僅かに低い2,229メートルで、外輪山では最も高いです。

七高山から見る鳥海山の頂上は、このように豪快な山容となっています。

ロマンあふれる険しい岩山、火山活動の歴史がこのような光景を生み出したと思うと、大地の力強さを実感します。

七高山から新山まで行くには、一度このような急坂を降りなければいけません。

ここは特に慎重を期する必要があり、落石や転倒に気を配って降ります。

無事に降り切ると、立派な雪渓が目の前に現れます。

少年の心を忘れていないので、こういうのがあると積極的に触りにいきます。

暑いので、クールダウンに最適です。

最後の登りは、大小様々な岩が敷き詰められたガレ場です。

今まで越えてきた岩場の中でもかなり滑りやすく、難易度は高いです。

ここまで全体的に緩やかな登りだったので、刺激的で楽しいです!

最後の最後には、こんな岩の隙間を抜ける場所もあります。

冒険心が刺激されるような不思議な空間、正直、

「ルート間違っているんじゃないのか・・・?」

と瞠目して立ち尽くしてしまいました。

山形県の最高峰 鳥海山頂上

さあ、鳥海山の頂上はこの直上です。

前の2人に必死についていく形で、目の前の岩をひとつひとつ越えていきます。

ついに、故郷山形で最も高い場所を踏破します。

9時38分、鳥海山の最高峰であり、山形県で最も高い場所 “新山”に辿り着きました。

行動を開始してから5時間半をすぎ、さすがに疲れを感じてきたところでした。

しかし、この場所に来れたという事が山形県で育ってきた身として本当に嬉しく、感動が溢れてきました。

長い距離にも関わらず一緒に来てくれた仲間と一緒に写真を撮り、この喜びを共有しました。

自分より低い位置に、雲がだんだんと湧いてきました。

遠景もバッチリ見えるのですが、もっともっと遠くの景色も見たい気持ちです。

こういう時に、自分の視力の悪さを悔みます。

本当に空気が澄み切った環境では、北アルプスの一部の山が山頂から見られるらしいです。

今回は流石に北アルプスまでは見られませんでしたが、

これ以上に良い環境になることがあるのか?

と疑ってしまいますね。

さて、山頂は狭いので後から来た方に山頂を譲り、我々は下山します。

山頂直下はこのように大岩の間を抜ける場所を通過し、まずは御室小屋まで下ります。

御室小屋までの下りも、神経をかなり集中させていく必要があります。

浮石もあるので、声を掛け合いながら落ち着いて下ります。

時間的に登りの方も多くいらっしゃるので、登ってこられる方の行動も見ながら臨機応変な判断が必要な場面です。

10時7分、無事に御室小屋まで降り小休止にします。

下山では千蛇谷ルートを使うので、雪渓を渡る箇所が出てきます。

清水湛える鳥海湖

雲がどんどん湧いてきますが、明媚な光景はずっと目を楽しませてくれます。

鳥海山は山形県で唯一日本百景にも数えられており、多様な植生と美しい自然美が融合した最高の環境です。

翌日が仕事なのですが、何とかして理由をつけてここに留まれないか・・・?

という悪い考えを巡らせてしまいます。

それぐらい美しく、それぐらい下山時の名残惜しさが半端ではなかったのです。

11時25分、唯一の雪渓渡りです。

ロープが丁寧に張られているうえに、雪もそれほど腐っていないのでチェーンスパイク無しでも行けました。

コンクリートジャングルに囲まれた東京の環境とは真逆の、広大な自然に囲まれた環境が心のふるさとです。

更なる自然を楽しむべく、鳥海湖の南側を周回するルートへ向かいます。

多くの方は、下りでも御浜小屋方面のルートで行きます。

しかし、前日に会った鳥海山に詳しいおじさん曰く、この鳥海湖を南側から回るルートの方が、起伏が少なく楽なのだそうです。

木道と、美しい谷を眺めながら夢の続きを楽しみます。

このルートでは、鳥海湖をこんな近くで見ることができます。

直径はおよそ200メートル、やや酸性の水で生物はあまり多くありません。

空を映し出す透明感のある水は、美しいという言葉だけでは形容出来ない程の魅力を放っています。

本来は、鳥海湖の近くを通るルートは使わない予定でしたが、本当に来てよかったです。

昨晩教えてくれたおじさんに感謝したいです。

山小屋や登山道中で情報交換すると、こういう思いがけない素敵な思いをさせていただける事が多いので、こういう交流は大切ですね。

綺麗だった鳥海湖を離れ、賽の河原付近の分岐点へ向かいます。

この道中も故郷の原風景を凝縮したような美しい風景で、ずっと心に残し続けたい景色です。

13時25分、賽の河原まで戻ってきました。

ここからは、登山口まで早朝に辿ってきた道を戻ります。

とにかく暑い!

お昼を回ってずっと陽射しが強いのに日焼け止めを塗り忘れたので、後日腕がボロボロになっていました。

秋田県と山形県の境まで来ました。

山形県の人は、この山を「庄内富士」と呼称する場合もあるそうです。

長い下山道、持ってきたエネルギー飲料を使い果たし、そろそろ膝の具合も気になってきました。

それでも、この旅路が終わる寂しさを感じてしまいます。

14時14分、登山口まで戻ってきました。

これで、最高だった鳥海山登山完遂です。

帰りに、ドン引かれる程の山形土産を各所で購入し、最後まで山形と東北の魅力に浸りました。

何より嬉しかったのは、同僚2人に山形の魅力を見てもらえたことで、素敵な表情を何度も見せてくれたことです。

東京からこの場所までの距離は500kmを優に超え、何時間もかけて車を走らせてきた同僚に大感謝です。

人生で一番見たかった景色を次々と見せてくれる鳥海山。
またこの場所を懐かしむために、数年後必ず訪れると思います。

山形は誇らしい故郷です。

2日間を通して、この地の素敵な自然・食・人柄・空気、全ての魅力を改めて味わうことができました。

この素晴らしい自然美をもっと色んな人に知ってもらいたいと、強く思わせる山行となりました。

おいでませ、山形!

コースタイム

8月6日

4:00 鉾立山荘発

5:19 賽の河原

5:53 御浜小屋

6:46 御田ヶ原分岐点

7:46 文殊岳山頂

8:14 伏拝岳山頂

8:31 行者岳山頂

8:56 七高山山頂

9:38 新山(鳥海山)山頂

10:07 御室小屋着

12:09 鳥海湖方面分岐

13:25 賽の河原

14:14 鉾立山荘着

目次